中銀総裁が辞任、後任には金融相が確実視

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年06月15日

フェデリコ・アドルフォ・ストゥルゼネッゲル中央銀行総裁は6月14日、マウリシオ・マクリ大統領に辞表を提出した。同日夜にはツイッターで辞表を公開し、辞任の理由として、この数カ月で中銀総裁としての自らの信頼性を失うようなことが起きたと説明した。4月以降急落した自国通貨の管理に対する責任を取るかたちとなった。

通貨ペソの下落初期の局面では、マクリ大統領も中銀総裁に全幅の信頼を置くと発言していたが、その後も下落が加速し、5月15日に大統領は記者会見で、中銀と政府との調整に問題があったと、自らの政権運営に対して初めて反省の弁を述べていた。

6月7日にIMFと500億ドルの融資枠組みで合意した(2018年6月8日記事参照)ことで、マクリ政権は財政再建に向けて進むかとみられていたが、その記者会見の席でストゥルゼネッゲル総裁はそれまで続けてきた為替介入を今後行わないと発言。ペソ安が加速すると途端に前言を撤回して介入を実施するなど市場に不信感を与える行動を取っていた。なお、6月14日の為替市場は、1ドル=27.70ペソと、2015年12月に為替レートを統一して以降、最安値となった。

後任の中銀総裁には、ルイス・カプート金融相の就任が確実と現地メディアは報じている。金融相の後任は置かず、今後は金融省と財務省と統合して、ニコラス・ドゥホブネ財務相がその任を担う方向で調整される見通しだ。カプート氏はJPモルガンやドイツ銀行など金融界でのキャリアを経て、2015年12月のマクリ政権発足とともに金融庁長官に就任。懸案だった対外債務交渉を取りまとめるなど実績を重ね、2016年には財務・金融省(当時)が分割されて誕生した金融省のトップに就任した。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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