第1四半期のGDP成長率は前期比年率マイナス2.2%

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2018年06月14日

統計局は6月5日、第1四半期の実質GDP成長率(前期比年率換算、季節調整済み)をマイナス2.2%と発表した(表1参照)。前期の3.1%から5.3ポイント減少し、2017年第1四半期以来、4期ぶりのマイナス成長で、2009年第1四半期(マイナス6.1%)以来の低さとなった。

表 産業別GDP成長率(実質、前期比年率換算、季節調整済み)

産業別に実質GDPをみると、農林水産業が24.2%減となった。主要穀物のトウモロコシの第1四半期の収穫量が、一部地域の降雨不足により前年比約28%減となったほか、水不足が深刻な西ケープ州を中心に野菜、果樹、花卉(かき)などの生産量が落ち込んだことが大きい。鉱業は金やプラチナ類の生産が落ち込み、前期の4.4%減からさらに低下して9.9%減となった。製造業も低調で、鉄鋼をはじめとする金属生産の低迷を受け6.4%減となった。他方で産業別GDPの約2割を占める金融・保険・不動産業・企業サービスは、4期連続のプラス成長で1.1%増となった。

需要項目別にみると、民間最終消費支出は家財、住宅支出などの伸びにより1.5%増、政府最終消費支出も公共セクターの雇用拡大により1.2%増となった(表2参照)。総固定資本形成は建設工事、機械設備・機器および住居用ビルなどの設備投資が低調だったことで3.2%減だった。輸出は前期の12.3%増からマイナスに転じて16.5%減となり、成長を押し下げた。統計局は、鉱物および金属製品の輸出が減少したためと説明している。輸入は一般機械、電子機械、自動車などが減少し6.5%減となった。

表 需要項目別GDP成長率(実質、前期比年率換算、季節調整済み)

2月に親ビジネス派のシリル・ラマポーザ大統領が誕生して以降、国内では経済再生への期待が高まり、「ラマフォリア」と呼ばれる楽観主義も広まっていた。こうした中でのマイナス成長の発表に市場は動揺し、発表翌日に通貨ランドは前日比1%下落した。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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