欧州企業の売上高、2017年も増加傾向

(ロシア)

モスクワ事務所発

2018年06月11日

在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)は5月29日、「在ロシア欧州企業の戦略と見通し」と題するアンケートの結果を発表した。調査は2018年3~4月に実施され11回目。

回答企業は76社で、業種別(複数回答可)ではサービス29%、エンジニアリング・建設8%、自動車8%、消費財・小売り8%、化学・医薬品7%、その他40%。

2017年の売上高は「増加」64%、「増減なし」22%、「減少」11%と、「増加」の割合が2年連続で拡大した(図参照)。今後3年間の売上高・利益見込みについては「増加」76%、「変化なし」14%、「減少」5%、「不明」4%と、多くの企業が、売上高と利益が増えると予想している。

図 売上高の推移(前年比)

ビジネス環境上の障害(複数回答可)は、「規制」62%、「熟練人材の不足」30%、「信頼できるサプライチェーンの欠如」22%、「開発された土地区画の活用困難」11%、「低品質の原材料」11%など。これは過去の調査結果と大きく変わっていない。

金利や銀行融資の状況は改善か

金融面での障害(複数回答)については「高金利」(29%)、「不十分なキャッシュフローと融資可能額」(29%)、「銀行融資へのアクセス制限」(26%)が過去と同様に多く挙げられたものの、「高金利」と「銀行融資へのアクセス制限」は2年連続で減少し、状況は改善しているようだ。

調査が米国による対ロ追加制裁発表(2018年4月10日記事参照)の前後に実施されたこともあり、その影響が結果にも反映された。「今後2~3年間のロシアへの投資」については「拡大」26%、「維持」34%、「縮小」36%、「不明」4%と、前年の調査に比べ「拡大」が25ポイント減少した一方、「縮小」は25ポイント増加した。

AEBのフランク・シャウフCEOは「在ロシア欧州企業の多くは2017年の業績に満足しているが、不確実性リスクの高まりに敏感になっている。米国の追加制裁の導入は、ビジネス環境改善に向けた変化を台無しにしている」と述べている。

AEBは1995年設立で、会員企業数は495社。ロシアにおける主要な外国企業団体の1つ。欧州企業を中心にロシア、米国企業などが加盟。65の委員会、分科会、作業部会を運営し、会員企業に対して情報、ネットワーキング面での支援を実施。ロシア政府へのロビイングやEUとの連携・経済統合も促進している。

(齋藤寛)

(ロシア)

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