香港行政長官、パリで「ベイエリア」計画をPR

(香港、中国、マカオ、フランス)

香港発

2018年06月25日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)は6月20日、フランスのパリで広東省政府およびマカオ特別行政区政府と共催し、「広東・香港・マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区、以下、ベイエリア)」のビジネス環境を紹介するセミナーを行った。

一国二制度や研究開発面での強みをアピール

基調講演の中で、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、中国共産党第19回党大会の政治活動報告で、習近平国家主席が香港、マカオ地域の発展と中国経済全体の発展の融合に向けた取り組みを引き続き支援すると述べたことや、中国政府がベイエリアの発展を優先事項としていることに触れた。その上で、「香港は一国二制度体制の下で、司法制度の独立性、国際的な金融・貿易センター、世界で最も自由で競争力のある経済、質の高いプロフェッショナルサービスや豊富な人材、情報・資金の流通の自由度などの面で優位性がある」ことを強調した。さらに、「香港はこれらの独特な機能を維持しながら、ベイエリア域内の他都市との相互補完が可能」と説明した。

林鄭長官は、交通インフラの整備にも言及。「『港珠澳大橋』および『広深港高速鉄道』が開通すれば、ベイエリア内のヒト・モノの流れが促進され、世界の他のベイエリア地域とも肩を並べることができるようになる」と述べた。

林鄭長官は、香港政府が力を入れつつあるイノベーション・科学技術面のベイエリア内の協力促進にも触れ、「香港は研究開発面の経験も豊富にある。深セン市の製造業と連携すればシナジー効果が生まれ、『(ベイエリアを)重要なイノベーション・テクノロジーハブとして発展させる』という目標の達成にも資する」とした。

さらに、林鄭長官は「香港(政府)は、より多くの資源をイノベーションや科学技術の面に投資する。例えば(香港と深セン市の境界に位置する)落馬洲河套地区には87ヘクタールに及ぶ『香港・深センイノベーション・テクノロジーパーク』を建設するほか、香港証券取引所も上場基準を改定し、まだ収益の上がっていないニューエコノミー企業やバイオ関連企業の香港での上場が可能となった」と述べた。

なお、香港の投資誘致機関である香港投資推廣署(InvestHK)は7月11日、東京で「一帯一路」構想やベイエリア計画での香港の役割を紹介するとともに、香港のさらなる活用を日本企業にPRするセミナーの開催を予定している(セミナーの詳細はInvestHKのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照)。

(中井邦尚)

(香港、中国、マカオ、フランス)

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