2017年度第4四半期GDPは7.7%成長と順調な回復

(インド)

ニューデリー発

2018年06月14日

中央統計局(CSO)は5月31日、インドの2017年度第4四半期(2018年1~3月)および2017年度(2017年4月~2018年3月)の実質GDP成長率(2011年基準)の推計値を発表した。

2017年度第4四半期GDP成長率は7.7%で、高額紙幣廃止や物品・サービス税(GST)導入の混乱などから落ち込み、5.6%の伸びとなった第1四半期(2017年4~6月)を底に、第2四半期(7~9月)6.3%、第3四半期(10~12月)7.0%と順調な回復をみせた(表1参照)。この数字は、直近7四半期で最も高い成長率となっており、経済成長の復調を示したといえる。

表1 2017年度第4四半期の需要項目別GDP成長率(2011年基準)

2017年度第4四半期における産業部門別のGVA成長率をみると、製造業は前年同期の6.1%から9.1%となり、2017年度第2四半期の7.1%、第3四半期の8.5%よりも成長が加速している(表2参照)。財務省のハスムク・アディア歳入次官は「GSTの導入が(納税手続きの簡素化や州越え販売に係る税金の撤廃などにより)産業界を大きく後押ししていることの表れだ」とした(「タイムズ・オブ・インディア」紙6月1日)。

表2 2017年度第4四半期の産業部門別GVA成長率(2011年基準)

2017年度GDP成長率はやや上方修正も、直近4年度では最低水準

2017年度GDP成長率の暫定推計値は6.7%で、2018年1月5日に発表された事前推計値の6.5%、2月28日に発表された2次推計値の6.6%をやや上方修正するかたちとなった(表3参照)。年度後半にかけて経済は大きく回復したものの、年度全体では前年度実績の7.1%より鈍化し、直近4年度では最も低い水準となった。

表3 2017年度需要項目別GDP成長率(2011年基準、暫定推計値)

一方、2018年度(2018年4月~2019年3月)のインドのGDP成長率について、米格付け会社ムーディーズは今回のGDP成長率発表の前日、昨今の原油価格の上昇などを踏まえ、推計値を7.5%から7.3%に引き下げた。これに対し、財務省のスバシュ・チャンドラ・ガルグ経済次官は「われわれはこれまでどおり2018年度の成長率は7.5%と予測している。原油価格の高騰とGDP成長率に直接的な関係はない」とコメントしている(「エコノミック・タイムズ」紙5月31日)。

(古屋礼子)

(インド)

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