バルト3国最大のスタートアップイベント開催

(エストニア)

ワルシャワ発

2018年06月07日

バルト3国最大のスタートアップイベントである「ラティテュード59」がエストニア・タリンで5月24~25日に開催された。10回目を迎えた今回は、20カ国以上2,000人余りが参加した。日本からは、起業家育成やベンチャー企業への投資などを行うMistletoe(ミスルトゥ)の孫泰蔵氏が2年連続で参加したほか、福岡市の高島宗一郎市長が参加するなど、約100人が来場した。

写真 会場となった旧発電所(ジェトロ撮影)

会期中に開催されたピッチコンテストには101社が応募し、決勝に残った10社の中から、金属加工業者と提携しオンライン製造プラットフォームを提供するエストニアのフラクトリー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが優勝した。フラクトリーにはエストニア・ビジネスエンジェルネットワーク(EstBAN)のプログラムからシード投資として17万ユーロが支給される。

福岡市は市内スタートアップ企業含む総勢48人で参加し、会場にブースを設けたほか、優勝者に航空券や福岡市でのオフィスや住居を提供するピッチコンテストを実施した。高島市長は講演で、国家戦略特区を生かしたスタートアップ支援策などを紹介した。同市はエストニアの貿易投資機関であるエンタープライズ・エストニアらと覚書(MOU)を締結しており、近年ラティテュード59に参加している。

写真 登壇した高島市長(ジェトロ撮影)

孫泰蔵氏は講演で、Mistletoeが共同で設立した子会社、ヴィヴィータ(VIVITA)がタリンのコワーキングスペース「リフト99」内に創造的な学びの場である「VIVISTOP」を今夏に開設することを発表。トップダウンではなくボトムアップによる学びの場をつくることで、これまでの教育を変えるとする。併せて、Mistletoeによるリフト99への出資も発表された。

写真 孫泰蔵氏が参加したセッション(ジェトロ撮影)
写真 VIVITAのブース(ジェトロ撮影)

このほか、会期中はサイバーセキュリティーやAI、ブロックチェーンなどさまざまなテーマでの議論や、バルト3国の有望なスタートアップの紹介なども行われた。また、マッチングアプリを通じて2,000以上のB2Bミーティングがアレンジされたという。

バルト3国のテック、スタートアップ事情を知る上で最適なイベントとなっているラティテュード59は、2019年は5月16~17日に開催予定。

ジェトロはバルト3国のIT、テック企業、スタートアップなどへの関心の高まりを受け、2018年9月2~8日にバルト3国にビジネスミッションを派遣する予定。詳細はジェトロのウェブサイトを参照のこと。

(牧野直史、吉戸翼、小松理恵)

(エストニア)

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