中銀、政策金利を6.50%で据え置き

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年05月18日

ブラジル中央銀行は5月16日、政策金利(Selic)を6.50%で据え置く判断をした。2016年11月以降連続で利下げを行ってきたがそれが途絶えるかたちとなった。さらに中銀は、次回(6月19、20日)の会合でも金利を据え置く見通しを示している。市場関係者の多くは今回0.25ポイントの引き下げを予測していた。

決定の理由について中銀は、「基本シナリオおよびリスクバランスの推移は、インフレ率の目標値収斂(しゅうれん)を遅らせるリスクを緩和するために追加的な金融緩和を行う必要性を失わせた」としている。つまり、インフレターゲットに沿った物価上昇率の実現に向け、追加利下げの必要性がなくなったという意味だ。その理由を次のとおり説明している。

国際金融市場の調整が続くことでインフレ上昇リスク高まる

中銀のリリースによると、基本シナリオとは「慣性メカニズムにより低インフレの状態が続くシナリオ」と、「改革の継続性やブラジル経済の必要な調整に対する市場の期待感が失われることで、ブラジルのリスクプレミアムに影響しインフレ推移を高めるシナリオ」の2通り存在する。米国をはじめとした先進国の金利上昇に伴う国際金融市場の調整が続けば、後者のシナリオをたどるリスクが高まるとしている。

ブラジルの通貨レアルの対米ドルレートは5月17日に3.69レアルと4月初め(2日)から10.2%下落しており、現状ではインフレ目標値を下回る水準で推移するインフレ率(IPCA)を上昇させる懸念がある。

ブラジルのインフレターゲット目標中央値は、2018年に4.5%(許容範囲3.0~6.0%)、2019年に4.5%(2.75~5.75%)、2020年に4.0%(2.5~5.5%)と物価上昇率を漸減させる前提となっている。中銀フォーカスレポート(5月11日付)による市場関係者の予測では、2018年のインフレ率は3.45%、2019年、2020年は4.0%が見込まれている。

(二宮康史)

(ブラジル)

ビジネス短信 fdbccec624ffcfe3