カルナタカ州で連立による新政権が誕生

(インド)

ベンガルール発

2018年05月29日

インド南部のカルナタカ州で5月23日、国民会議派と地域政党のジャナタ・ダル〔世俗派:JD(S)〕との連立政権が誕生し、H.D.クマラスワミー氏が州首相に就任した。

5月15日に州議会選挙の開票が行われたが、単独過半数を確保した政党はなく、州知事の判断により、第1党となったインド人民党(BJP)のヨディラッパ氏がいったん州首相に指名されていた。インドでは、過半数を確保できていない政党が政権を取るには、州議会での信任投票であらためて過半数確保を証明する必要があるが、ヨディラッパ氏は他党からの議員の引き抜き工作などに失敗し、同氏はわずか2日間で辞任した。これに伴い、州知事が国民会議派とジャナタ・ダルの連立政権樹立を要請し、クマラスワミー内閣が発足した。

新州首相のクマラスワミー氏は、34人の全閣僚のうち、州首相を含む12人をジャナタ・ダル、22人を国民会議派から任命した。中でも、州副首相のポストには国民会議派のG.パラメシュワラ氏が充てられ、同党が連立政権でも影響力を誇示したい意向うかがえる。

産業界は新政権にポジティブな対応

クマラスワミー新政権が誕生したことを受け、産業界はポジティブな見解を示している。カルナタカ州商工会議所(FKCCI)は「新州首相は農民の利害を大切にする人物。今後、農業関連分野への発展が期待できる」との見方を示している。

また、インド大手IT企業のインフォシスの元CFO(最高財務責任者)を務めたモハンダース・パイ氏は、「選挙前からどの政党もIT産業への発展に尽力することを約束していたため、新政権がたとえ農村部の発展を優先したとしても、IT産業には影響はないだろう」と述べている。ただし、連立政権がゆえに政治運営が不安定となり、政策の導入などの決定が遅くなる懸念も示されている。国民会議派は5年間の政権運営期間において、クマラスワミー州首相を支持し続けるとは限らない、との当地報道もある。

2019年総選挙はBJP対全野党の構図となるか

今回のカルナタカ州首相の就任式には、国民会議派を含む主要な各野党代表者が出席した。このように各野党の代表者が同じ場所に集結するのは初めてのことで、各メディアが、2019年総選挙はモディ首相率いる国政与党BJPと全野党の大連合の間の争いになるのではないか、と予測している。しかし、「タイムズ・オブ・インディア」紙(5月24日)は、2019年の総選挙で全野党が連携すれば、BJPが議席を減らす可能性があるものの、BJPを中心とした国民民主同盟(NDA)から政権を奪うまでには及ばない、と分析している。

(ディーパク・アーナンド、土田葉)

(インド)

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