グリーンテクノロジーが成長のチャンス
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2018年05月01日
連邦環境・自然保護・原子力安全省は4月13日、通算5度目となるグリーンテクノロジー業界(注1)の現状に関する調査レポート(GreenTech-Atlas 2018)を発表した。同省のスべンヤ・シュルツェ大臣は同レポートの発表に際し、「グリーンテクノロジーは、ドイツ経済の近代化のための推進力になりつつある。環境技術に関するイノベーションは、ドイツ企業の新たな雇用創出や将来の世界市場におけるドイツの成功に一層貢献するだろう」と述べ、同業界における同国企業のさらなる活躍に期待感を示した。また、同分野ではグローバル競争が今後より激しくなることが予測されることから、同国企業のイノベーション創出に向けた支援政策を打ち出す必要があるとした。
同調査によると、2016年のグリーンテクノロジーの世界市場規模は3兆2,000億ユーロで、2025年まで年率6.9%の成長が続き、5兆9,000億ユーロまで増加すると見込まれるという。その中で、ドイツはグリーンテクノロジーの需要が高く、2025年までの市場成長率は平均で8.8%と、世界市場より高い成長率で拡大することが予測されている。
同レポートによると、ドイツにおけるグリーンテクノロジー産業は2016年時点でGDPの15%を占め、2025年までにこの比率は19%まで増加するという。厳しい環境基準やエネルギー・資源効率に関する高い意識、エネルギー転換の早期実行が関連技術の需要を創出していることが背景として挙げられる。
成長が期待される技術分野も指摘
同レポートでは今後国内で特に成長が期待される技術分野として、(1)電気自動車など代替モビリティーのためのインフラ(56%)、(2)電気自動車(53%)、(3)製造業や産業における節水技術(43%)、(4)ハイブリッド車(40%)、(5)パワー・ツー・エックス(34%、注2)、(6)省エネルギー住宅(32%)、(7)家庭における節水技術(32%)、(8)燃料電池車(28%)、(9)農業における節水技術(25%)、(10)カーシェアリング(24%)などが挙げられた(かっこ内はコンサルテーション企業ローランド・ベルガーによる2016年から2025年にかけての市場の年間平均成長率の予測)。現在、グリーンテクノロジー業界は国内で既に150万人の雇用を生んでおり、今後の同業界の拡大に伴い、さらなる雇用の創出も期待されるとした。
(注1)グリーンテクノジーの主な市場は、(1)エネルギー効率化および環境に優しい製造プロセス、(2)エネルギー貯蓄・流通、(3)循環型経済・リサイクル、(4)持続可能なモビリティー、(5)持続可能な水管理、(6)資源・材料効率の6分野。
(注2)パワー・ツー・エックスは、余剰電力を、化学反応を利用し別の物質(エックス:水素やメタンなどのガス、アンモニアやメタノールなど)に変換することで、エネルギーの輸送や貯蔵、その他の動力源などとして活用する技術。
(ベアナデット・マイヤー)
(ドイツ)
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