革命後初の地方議会選挙、投票率は35.6%と低水準に

(チュニジア)

パリ発

2018年05月25日

2011年の革命後初となる地方議会選挙が、このほど行われた。投票率は35.6%で、2014年10月の国民議会選挙の68%、同年11月の大統領選挙および12月の同決選投票の60%台を大幅に下回った。

地方議会は革命後に解散され、暫定措置として中央政府が任命する「特別代表」に取って代わられ混乱状態が続いていた。地方議会選挙は、地方自治の立て直しと、政治的民主化の最終段階として重要視されてきたもので、これまで数回の延期を経て、革命後7年たってようやく実施された。

既成政党への不信で無所属候補が伸長

5月6日に行われた今回の地方議会選挙では、全国350の地方議会の7,212議席を比例代表方式(注)で選出する。選挙区全てを合わせると、5万3,668人の候補者が2,074の選挙名簿を構成する。各名簿には男女交互に候補者を記載、少なくとも1人の身体障害者と3人の35歳以下の候補者を含むことが原則。5月9日に独立選挙高等機関(ISIE)が発表した暫的選挙結果によると、無所属候補者で構成される名簿が32.9%の得票率で2,367議席を獲得した。次いで、連立与党第2党のイスラム穏健派アンナハダが29.7%で2,135議席を獲得し、最大与党の世俗派ニダ・トゥーネスは22.7%で1,595議席にとどまった。全議席の47%が女性議員で、37%が35歳以下となった。

選挙結果を受けて国内外メディアは、国政レベルで連立政権を組む2大政党への国民の不信が、一方で投票率の低さ、もう一方で無所属の議席数の増加という結果を生んだと分析している。特にアンナハダに抜かれた最大与党ニダ・トゥーネスの敗北は、党内権力闘争による党の弱体化と政府の経済政策の行き詰まりに対する、国民の不満の結果と指摘されている。

とはいえ、今回の選挙ではアンナハダとニダ・トゥーネスの2大政党の優位は維持された。一方、無所属候補の台頭により、今後の各地方議会での議長選出や続く7月の市長選挙での無所属候補の出方が注目される。地方議会選挙前の4月26日には、憲法第7条にうたわれる地方分権を具現化する地方自治法が11カ月間の議論を経て国会で可決されている。地方自治体の役割強化、地方予算の独立性が盛り込まれる同法の成立と初の地方選挙実施で、革命の主因となった地方格差の是正に向け、地方分権が徐々に加速することが期待される。

(注)各名簿の得票率と議席率の関係は比例代表制と同じだが、無所属であっても無所属名簿に登録できる。名簿には党名簿、無所属候補者で構成される名簿、党連合名簿の3種類がある。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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