政策金利、3年半ぶり引き上げで4.5%に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年05月22日

中央銀行は5月18日、政策金利である7日物リバース・レポレートを0.25ポイント引き上げて、4.50%とした。マクロ経済の安定を背景に、2016年1月から段階的に金利を引き下げており、利上げは2014年11月以来、3年6カ月ぶり。ルピアの対米ドル相場が5月8日に心理的節目とされる1ドル=1万4,000ルピアを超えたことを受け、市場関係者は、近く利上げが実施されると予想していた。

中銀のアグス総裁は利上げの理由について、世界の金融市場で進む不透明性と流動性の低下に対応して、自国経済の安定性を保つ政策の一環と説明した。また、今後のリスク要因として、米ドルの切り上げ、原油価格上昇、米中の貿易関係、中東情勢などを挙げ、状況に応じてさらなる利上げに踏み切る可能性を示唆した。

中銀は、マクロ経済の安定を背景に2016年2月から金融緩和政策を導入し、同年5月まで3度利下げを実施した。金利引き下げの効果を高めるため、2016年8月には7日物リバース・レポレートを政策金利として導入した上で、2017年9月までに4度にわたる利下げを行った。この間、ルピアの対米ドル相場は比較的小幅な値動きだったが、米国連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げを受けて2018年3月ごろから通貨安圧力が強まり、5月8日には為替参照レートで1ドル=1万4,036ルピアとなった。

今後について、地元紙「コンパス」は、民間大手プルマタ銀行エコノミストのヨシュア・パルデデ氏の見解として「今回の利上げはルピア防衛に向けた取り組みの始まりでしかない」と報じた。中銀による利上げ導入にもかかわらず、5月18日のルピア相場は1ドル=1万4,107ルピアと最安値を更新した。

(山城武伸)

(インドネシア)

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