EU、西バルカン諸国との連結性の強化を約束

(EU、西バルカン)

欧州ロシアCIS課

2018年05月24日

2018年上期のEU議長国を務めるブルガリアの首都ソフィアで5月17日、EU加盟国および西バルカン諸国(アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、マケドニア、モンテネグロ、セルビア)の首脳が参加し、EU・西バルカン首脳会議が開催された。

同首脳会議では、EUと西バルカン諸国および西バルカン諸国間の連結性(コネクティビティー)が政治の安定、経済の繁栄、文化・社会的な発展を支えるとして、交通、エネルギー、デジタル経済、ビジネス環境、若者への機会創出を含むあらゆる側面で連結性を強化していくことが約束された。また、EUと西バルカン諸国が共通で抱える安全保障、不法移民、テロなどでも協力していくことが確認された。

今回の首脳会議は、西バルカン諸国をEUに統合していく方向性が確認された2003年のギリシャのテッサロニキ以来の開催となった。EUは、西バルカン地域の安定化と将来のEU加盟に向けた見通しを示すため新戦略を2018年2月に発表しているが(2018年2月6日記事参照)、本首脳会議では政治、経済、社会、治安、環境など幅広い分野での明確な支援を再確認する「ソフィア宣言」を採択した。EUは、これらの取り組みを推進するため、西バルカン投資フレームワークを通じて交通インフラの11優先プロジェクトに1億9,000万ユーロ、ブロードバンド整備に3,000万ユーロを投資するほか、再生可能エネルギーへの変換、若者への教育・職業訓練に対する支援を強化する。

ドナルド・トゥスク欧州理事会(EU首脳会議)常任議長は首脳会議終了後の声明において、EUは最も信頼の置けるパートナーで、西バルカン諸国の将来はEUのほかにはなく、西バルカンは欧州の重要な一部だ、などと緊密さを強調した。

その一方で、EU首脳の多くは、加盟に向けて各国が実施すべき改革が多く道のりは長いと、新規加盟には慎重な姿勢を示している。欧州委員会は、2025年までに一部の国に加盟を認めることもあり得るとするが、それについて記者会見で質問を受けたドイツのアンゲラ・メルケル首相は「EU加盟は、法の支配の確立、汚職の撲滅、近隣諸国との国境問題などの解決など、諸条件を満たすことで実現するもので、時期的な目標を掲げることは適切ではない」とした。

(鷲澤純)

(EU、西バルカン)

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