米・ナイジェリア首脳会談、安全保障を中心に協議

(ナイジェリア、米国)

中東アフリカ課

2018年05月01日

ムハンマド・ブハリ大統領は4月28日からの日程で米国を訪問した。30日にホワイトハウスを訪れ、ドナルド・トランプ大統領との首脳会談に臨んだ。会談は米国側の要請で行われ、サブサハラアフリカの首脳が招かれたのは初めて。会談後の共同記者会見では、両国が政治、経済、軍事、社会、文化的な分野における協力をより一層強固にするとの認識が示された。

トランプ大統領は、中でもテロ対策分野での協力が重要だと繰り返し強調した。イスラム過激派組織によるテロ対策での協力のほか、テロ組織の掃討などに使用される米国製軽攻撃機(A-29 Super Tucano)をナイジェリア政府が購入したことに対して謝意を示した。一方、ここ1年間の作戦により「イラクとシャームのイスラム国(ISIS)」の活動は抑えられているが、ボコ・ハラムは引き続き問題だとの見方を示した。経済面では、アフリカ諸国と緊密な貿易パートナーとなることを望むとした。その上で、ナイジェリアには毎年10億ドルを援助しており、貿易障壁の軽減を求めると発言した。

ブハリ大統領は、米国の継続的な軍事支援に謝意を示し、ボコ・ハラムが活動拠点とする北東部の前線には米軍から訓練を受けた兵員がおり、米国からの武器提供もテロ掃討に貢献しているとした。ボコ・ハラムによって誘拐された女生徒の状況についてトランプ大統領から問われた際には、2018年2月にヨベ州で起きた事件では106人が誘拐され、政府は100人を救出したと述べた。米国がナイジェリア政府と誘拐犯の仲介をしてくれたことに感謝すると述べた。

なお、ナイジェリア北部にかかるサハラ砂漠南縁部のサヘル地域では、「西アフリカにおけるイスラム国(ISWA)」がボコ・ハラム内の一派と結び付きを強め、テロ攻撃を活発化させている。ボコ・ハラムは、ナイジェリア北東部のボルノ州を中心に、カメルーン、チャド、ニジェールの国境をまたいで活動しており、ISWAとの連携は同地域の不安定化を助長させている。

(高崎早和香)

(ナイジェリア、米国)

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