鉱工業生産の不振で第4四半期は低成長

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年04月10日

連邦国家統計局によると、2017年度第4四半期の実質GDP成長率は前年同期比0.9%だった(表参照)。2017年通年では1.5%と、2月に発表された速報値から変化はなかった。

表 ロシアの主要経済指標

経済発展省によると、第4四半期のGDP成長率が低調にとどまった要因は鉱工業生産の不振だ。金属資源など採掘の不振、11月末のOPECとの減産合意に伴うエネルギー資源採掘の減速、国防予算歳出の減少による受注減などで、鉱工業生産が落ち込んだことが背景にある。金融コンサルタント会社BCSのウラジーミル・チホミロフ・チーフエコノミストは、年末にかけての例年にない暖冬により暖房用のガスや電力の消費が抑えられたこと、豊作であった前年に比べ農業生産が前年同期比減となったことも影響していると指摘する(「ガゼータ・ルー」2月1日)。

1月はサービス産業が好調

他方、経済発展省によると、2018年1月のGDP成長率は前年同月比1.9%、2月は1.5%となった。不動産や金融などのサービス産業が好調だったほか、鉱工業生産の回復が成長に寄与した。鉱工業生産の回復には、自動車生産の増加や冶金業の回復、寒波に見舞われた欧州への天然ガス輸出増が影響している。経済発展省は、2017年末の経済成長の落ち込みと1月の急成長は一時的なものとみている。オレシキン経済発展相は3月28日の同省内の会議で、2018年のGDP成長率の見通しを約2%と発表した。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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