資本輸入が3四半期連続で増加

(ナイジェリア)

ラゴス発

2018年04月25日

2017年第4四半期の資本輸入額は、53億8,286万ドルと3期連続で増加し、2014年第4四半期の水準まで回復した(注)。ポートフォリオ投資が34億7,530万ドルと全体額の65%を占めた。前期まで多くを占めていた株式に代わり、マネーマーケット商品が大幅に増加した(ポートフォリオ投資全体の63%)。国別では英国、米国が従来どおり上位を占めた。続くベルギー、シンガポール、スイスはいずれも前期比で大幅増を記録した。

資本輸入が増加した背景には、深刻な外貨不足が解消されつつあり、為替レートの安定で市場の信頼が回復したことがある。2017年2月、中央銀行は外貨準備高の回復を受けて外貨規制を緩和し、市中への外貨供給量を拡大した。同4月には投資家・輸出事業者向けの外貨供給窓口を設置し、需給を反映した為替レート(NAFEX)に基づく取引を開始した結果、両替商による並行市場レートとの乖離がほぼ解消された。外貨流動性の回復と為替の安定により、ナイラ建て投資のリスクが低減され、投資家が再びナイラをポートフォリオに組み込むようになった。

2019年初の大統領選が懸念材料

2018年はおおむね緩やかな経済成長が続くとの予測で、資本流入も堅調に推移する見通しだ。2月、ナイジェリア債務管理庁(DMO)は米投資銀行のJPモルガンが公表している新興国債権インデックス(GBI-EM)にナイジェリアを復帰させたいとの意向を表明した。ナイジェリアは2015年10月、深刻な外貨流動性の減退を理由に同インデックスから除外された。2016年2月にも英投資銀行バークレイズの自国通貨建て新興市場国債インデックスから除外されたが、それぞれに復帰すれば市場信頼への期待が高まる。

一方、2019年初めには大統領選挙が控えており、投資が停滞に向かう可能性も指摘される。また、米国の政策金利引き上げも、ナイジェリアを含め新興国への資本フローを抑制させる可能性があり、過度な楽観視はできない状況だ。

(注)2018年2月28日ナイジェリア国家統計局発表。

(山村千晴)

(ナイジェリア)

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