リー首相、自由貿易支持をあらためて表明

(シンガポール、中国)

シンガポール発

2018年04月18日

シンガポールのリー・シェンロン首相と中国の習近平国家主席は4月10日、ボアオ・アジア・フォーラム(注)に合わせて開催された2国間会合で、「ルールに基づく多国間貿易は大小問わず全ての国々に恩恵がある」としてあらためて自由貿易支持を表明した(シンガポール「ストレーツ・タイムズ」紙4月11日)。

ボアオ・アジア・フォーラムで基調講演

また、リー首相は、同フォーラムで自由貿易の推進や米中間で起きている貿易摩擦について基調講演を行った(首相府発表の演説文参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同首相は中国やインド、ASEAN諸国などアジアの国々は、自由貿易の推進や市場開放により発展してきたとした上で、「これらの国々はオープンで、ルールに基づく国際秩序や多国間貿易制度の恩恵を享受してきた」と自由貿易の重要性について強調した。

米通商法301条にも言及

同首相は、米国が通商法301条に基づき、中国製品に対する追加関税措置を検討していることに関しても言及し、「一方的な関税措置は正しい解決策ではない。貿易における紛争はWTOの枠組みの中で解決すべきだ」と警鐘を鳴らした。さらに、米中間の貿易紛争はまだ避けられるものの、もし起きてしまった場合は、「世界の繁栄を支えてきた多国間貿易体制を損ね、大小さまざまな国に影響を及ぼす」と懸念を示した。

習国家主席は、冒頭の2国間会合でリー首相の基調講演に謝意を示しつつ、「2017年9月のリー首相の訪中以来、両国は友好な関係だ」、「(今回の)リー首相の訪中とボアオ・アジア・フォーラムへの出席は、リー首相が中国・シンガポール関係を重要視していることの表れだ」と強調した。4月8日に、シンガポールと中国は「一帯一路」に関する覚書(MOU)に署名した。同MOUによると、シンガポール貿易産業省(MTI)、シンガポール国際企業庁、一帯一路構想を推進する中国国家発展改革委員会(NDRC)は、相互の関心分野および市場を特定するワーキンググループを組織することに加え、一帯一路に沿った第三国市場における両国企業の協力促進のためのビジネスマッチングやフォーラムを開催するという(シンガポール「ビジネス・タイムズ」紙4月9日)。

(注)スイスのダボスで開催されている国際会議(ダボス会議)を主催する世界経済フォーラムにならい、そのアジア版を目指して、中国政府の全面支援の下、構想された会議。

(源卓也)

(シンガポール、中国)

ビジネス短信 f1791350111fdd06