消費と投資の伸びが鈍化、工業生産は横ばい

(中国)

北京発

2018年04月27日

国家統計局が4月17日に発表した2018年第1四半期の主要経済指標をみると、消費と投資の伸びは前年同期より縮小、工業生産は横ばいとなった。

政府が経済成長の牽引役と位置付ける消費(社会消費品小売総額)は、前年同期比9.8%増で伸び幅は0.2ポイント縮小した(添付資料参照)。化粧品類(前年同期比16.1%増)、家電・映像機器類(11.4%増)などが好調だった半面、文化・オフィス用品類(4.0%増)、通信機材類(7.7%増)、自動車類(7.4%増)などの伸びは低かった。なお、都市部の消費品小売額は9.7%増だったのに対し、インターネット小売額は35.4%増と高い伸びが続いている。

インフラ投資が大幅に鈍化

固定資産投資総額(農家を除く)は前年同期比7.5%増で伸び幅が1.7ポイント縮小した。うち民間投資は伸び幅が1.2ポイント拡大の8.9%増と好調だった。一方でインフラ投資は前年同期の伸び幅から10.5ポイント縮小し13.0%増と大幅に鈍化した。

インフラ投資が鈍化した要因について、政府系シンクタンクである国家信息中心経済予測部の牛梨副主任は、「地方政府の各種金融チャンネルの規範化・整理やPPPプロジェクトの整理によりプロジェクトや投資が減少した」ことを挙げた(「21世紀経済報道」4月18日)。

投資を産業別にみると、第一次産業(24.2%増)と第三次産業(10.0%増)が好調だった。一方で第二次産業は、医薬製造業(12.5%減)、汎用(はんよう)設備製造業(3.5%減)、化学原料・化学製品製造業(0.2%減)などの不振を受け2.0%増と前年同期より伸びが鈍化した。不動産投資は10.4%増で伸び幅は前年同期より1.3ポイント拡大した。

工業生産増加額(付加価値ベース、年間売上高2,000万元以上の企業が対象)は前年同期比6.8%増で伸び幅は前年同期と同じだった。専用設備製造業(10.7%増)、コンピュータ・通信・その他の電子設備製造業(12.5%増)などが牽引した一方、人件費の上昇などから競争力の低下が指摘される紡績業(2.1%増)や環境規制の影響を受ける化学原料・化学製品製造業(3.1%増)などは低い伸びにとどまった。

国家統計局のケイ(刑のつくりがおおざと)志宏報道官は、第1四半期に一部指標が鈍化した要因について、「2018年は春節が通常と比較して遅かったことから、関連する分野の生産に比較的はっきりとした影響が出た」との認識を示した。

(藤原智生)

(中国)

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