2017年の再生可能エネルギーに対する投資は前年比36%減

(欧州)

ブリュッセル発

2018年04月20日

国連環境計画(UNEP)とフランクフルト・スクール・オブ・ファイナンス&マネジメントが共同で設立した「気候および持続可能エネルギーファイナンスに関するコラボレーションセンター」(ドイツ・フランクフルト)はこのほど、世界の再生可能エネルギーに対する投資動向に関する年次報告書(2018)を発表した。

投資額は中国がトップ

同報告書によると、2017年の世界の再生可能エネルギーに対するプロジェクトや技術開発などへの新規投資額は2,798億ドルに達し、前年比2%増となった。投資額が最も多かった国・地域は、中国(1,266億ドル)、続いて欧州(409億ドル)、米国(405億ドル)となった。中国は2015年に欧州を抜いて以来、トップを維持している。

2017年の欧州での投資額は、前年比36%減と大きく落ち込んだ。最も投資額が大きかった国は104億ドルのドイツで、76億ドルの英国が続いた。

同報告書は、欧州で再生可能エネルギーに対する投資が前年比で大幅に減少した理由として、(1)英国では、陸上風力や太陽光発電向けの助成金が終了したこと(投資額が前年比65%減)、(2)ドイツでは、電力の買い取り価格の決定を固定価格買い取り制度からオークション制度(入札制度)へ移行することへの先行き不透明感の広がり(投資額が前年比35%減)、などを挙げている。

なお、既述の新規投資には含まれない、再生可能エネルギー関連企業の買収にかかる取引額は、前年比1%減の1,140億ドルとなった。うち872億ドルを占める資産獲得およびリファイナンス取引では、欧州が前年比26%増の372億ドルで地域別(注)で最も大きかった。また、企業買収(M&A)の案件別では、金額の大きいトップ10のうち、7案件は欧州だった。最も大きな投資案件は、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)が風力発電用のブレードを設計・製造するLMウインドパワー(デンマーク)を16億5,000万ドルで買収した案件だった。

今回発表された年次報告書の詳細は次のウェブサイトを参考のこと。

Global Trends in Renewable Energy Investment Report 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Frankfurt School UNEP Collaborating Centre for Climate & Sustainable Energy Finance)

(注)米国、ブラジル、欧州、中国、インド、中東・アフリカ、米国・ブラジルを除く米州、中国・インドを除くアジア大洋州。

(大中登紀子)

(欧州)

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