地理的表示の対象や意匠の存続期間を改定

(メキシコ)

メキシコ発

2018年04月03日

政府は3月13日、連邦官報で産業財産権法の改正を公布した。地理的表示(GI)の保護対象が拡大され、意匠の存続期間を最長25年に延長、意匠や実用新案、特許の登録プロセスの改善が行われる。改正は官報公布から30営業日後に発効する。

原産地呼称以外の地理的表示も保護対象に

産業財産権法改正の主な内容は以下のとおり。

  1. 原産地呼称(DO)に加え、地理的表示(GI)を保護対象に追加
  2. 外国のDOやGIをメキシコにおいて保護するための手続きを規定
  3. 意匠の存続期間を原則5年間で4回延長可能とし、最長25年に変更
  4. 意匠や実用新案の申請の公開を明文化
  5. 特許についての異議申し立て期間を6カ月から2カ月に短縮

1.については、メキシコでは従来、地理的表示保護の対象としてDOしかなく、テキーラやメスカルなど原料から最終製品に至るまで厳格に原産地呼称が統制された産品のみが保護の対象となっていた。改正により、DOに加えGIが保護の対象に加わった。DOとGIの区別については、EUの制度(ジェトロ2015年3月調査レポート参照)ほど定義や認定基準が明確になっていないが、産業財産権法に盛り込まれた定義(第156~157条)では、DOとして保護されるためには「産品の品質や特徴が、当該産品の名称(の一部)となっている地理的領域の自然あるいは人的な要素に排他的または本質的に依存すること」が求められるが、GIとして保護されるためには、「産品の品質、評判、その他の特徴が根本的にその土地に依存していること」となっており、DOほど厳格な原産地管理が求められないと介される。

2.については、メキシコは自由貿易協定(FTA)など国際協定の中で締結相手国の特定とDOやGIを相互に保護する規定を盛り込んでいるが、産業財産権法には外国のDOやGIを保護するための手続きが存在しなかった。改正により、FTAなどで相互に保護することを認めたDOやGI以外でも、権利者からメキシコ産業財産権庁(IMPI)への申請に基づき外国のDOやGIを登録し、保護する制度が設けられることとなった。

意匠や特許の登録プロセスを改善

3.については、従来は15年間で延長不可だった意匠の存続期間を、原則5年間で4回までの更新を可能にして、最長25年間とした。5年ごとに更新する必要はあるが、更新を重ねれば最長で10年間存続期間が伸びることとなる。

4.については、実用新案と意匠は特許と異なり、登録前の公開制度がなかったが、透明性を高めるため方式審査終了後に直ちに公開されることとなった。5.については、従来6カ月だった特許の意義申し立て受付期間を2カ月に短縮することで、出願から登録までの期間を短縮する。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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