第1四半期の貿易総額は16.3%増、対米黒字は拡大

(中国)

北京発

2018年04月24日

海関(税関)総署の4月13日の発表によると、2018年第1四半期の貿易総額は、前年同期比16.3%増の1兆421億5,000万ドルとなった。輸出は14.1%増の5,452億7,000万ドル、輸入は18.9%増の4,968億8,000万ドルといずれも増加した(表参照)。

表 2018年第1四半期の国・地域別貿易額

海関総署の黄頌平報道官は、第1四半期の貿易が好調だった要因として、世界経済が回復しており世界貿易額が伸びていること、国内経済が「穏中向好(安定の中、向上あり)」の状態にあり輸入需要が拡大していること、「一帯一路」構想の推進で新興市場の開拓が進んだことを挙げた。また、同時に供給側(サプライサイド)の構造改革が進んだことにより、貿易が発展するための内生的原動力が増強されたと述べた。

輸出を海関の分類に基づく上位5品目別にみると、携帯電話機・部品は397億ドル(前年同期比20.3%増)、自動データ処理設備・部品は370億ドル(15.1%増)、紡績糸・織物・その製品は259億ドル(12.4%増)、集積回路は181億ドル(33.5%増)と大きく伸びた。一方、アパレル・衣類関係は316億ドル(0.7%増)と前年同期並みだった。

輸入では、集積回路(700億ドル、36.9%増)、原油(530億ドル、28.5%増)、初級形状のプラスチック(134億ドル、9.9%増)、自動車・自動車用シャーシ(126億ドル、15.7%増)などが伸びた。一方で砂鉄・その精鉱は前年同期比11.5%減の195億ドルと減少した。

国・地域別に貿易総額をみると、上位5カ国・地域が全て2桁増となった。内訳をみると、EUが1,537億ドル(14.9%増)、米国が1,416億ドル(13.0%増)、ASEANが1,336億ドル(20.9%増)、日本が757億ドル(10.1%増)、韓国が721億ドル(13.0%増)となった。

米国との貿易をみると、輸出が前年同期比14.8%増の999億ドル、輸入が8.9%増の417億ドルとなった。貿易黒字は582億ドルで前年同期比19.4%増となった。

黄報道官は、米中貿易の黒字について、「中国は計画的に貿易黒字を追求したことはなく、現在の貿易の状況は、市場が作り出したものであり、両国の経済構造や産業競争力と国際分業により決定されたものである」と強調した。さらに、「迂回貿易やサービス貿易などを考慮すれば、米中貿易の黒字は実際にはそれほど大きくない」と述べ、この問題については、客観的かつ理性的に見なければならないとした。

2018年上半期の貿易については、増加を続けるとした一方、保護主義が台頭しつつあること、製造業の国際競争がより厳しくなっていることなどを不確定要因として挙げ、懸念を示した。

(藤原智生)

(中国)

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