上海市、企業の社会保険負担額は4月から9.7%増

(中国)

上海発

2018年04月10日

上海市人力資源・社会保障局は3月29日、2018年度(2018年4月~2019年3月)の社会保険料(養老、医療、失業、生育、労災)納付基準額と料率を公表した(表1、2参照)。料率は前年度を踏襲したものの、納付基準額は下限額が377元増の4,279元(約7万2,700円、1元=約17円)、上限額が1,884元増の2万1,396元に改定された。納付基準額の下限額と上限額はいずれも前年度比9.7%増となり、伸び率は過去6年間で最高の水準を記録した。

表1 上海市の社会保険負担一覧表(2016~2018年度)
表2 上海市の社会保険納付基準額(2016~2018年度)

なお、納付基準額の下限額と上限額は、それぞれ上海市の前年の従業員平均賃金の6割、3倍に相当する額が設定されている。個人の納付基準額は、本人の前年の実収入の月平均額となるが、月平均額が下限額を下回った場合は下限額、上限額を超えた場合は上限額が納付基準額となる。また、企業の納付基準額は個々人の合計額となる。

社会保険負担額は納付基準額にそれぞれの保険料率を掛けて算出されるため、2018年度の上海市における企業の1人当たり最低負担額は1,335元、最高負担額は7,039元となる。

賃上げガイドラインの基準値は8%

2018年度の賃上げガイドラインは基準値8%、下限3%となった。賃上げガイドラインには法的拘束力はないものの、上海市総工会(労働組合)や企業連合会、企業者協会などの業界団体の共同名義で発表されるものであるため、労使の賃金交渉を行う際の目安とされる。

上海市人力資源・社会保障局によると、健全な経営で売り上げを伸ばしている企業は基準値を参考に実際の賃上げ率を決めればよいが、前年度の従業員平均賃金が市平均の60%以下の企業なら上限値を参考とし、市平均の2倍以上なら基準値以下が妥当とされる。

上海市は1998年から賃上げガイドラインをほぼ毎年公表しているが、2017年度は新たに設定せず、基準値、上限、下限をそれぞれ2016年度の9%、14%、4%に据え置いた。基準値は2013年の13%が最高だったが、景気減速が明らかになっている中、賃金の上昇ペースは緩やかになっている。

(劉元森)

(中国)

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