2018年のGDP成長率予測を2.7%に上方修正

(スペイン)

マドリード発

2018年04月16日

スペイン政府は予算案のベースとなるマクロ経済見通しで、2018年の実質GDP成長率見通しを前回(2017年10月、2018年1月11日記事参照)の2.3%から2.7%へ0.4ポイント引き上げた(表参照)。

表 マクロ経済予測(前年比)

カタルーニャ独立問題の経済への影響が予想よりも軽微で、投資が順調に推移していることや、世界経済やユーロ圏の成長見通しが堅調で、第1四半期の経済指標が予想よりも好調だったことが修正の理由だ。

3年連続で内需と外需両輪での成長

個人消費はやや減速するものの2%台を維持。特に投資と輸出で5%近くの力強い成長が予測される。

KPMGとスペイン経団連(CEOE)が2月に発表した経営者景況感調査によると、6割近くの企業が2018年に投資を予定している。民間債務はリーマン・ショック前のバブル経済の影響で2010年にGDP比218%に達したが、2017年には160%まで縮小しており、短期的には低金利が持続するとの見通しの下、設備投資、建設投資ともに拡大が見込まれる。

財輸出は2011年より7年連続で過去最高を記録しているが、2018年1月も前年同月比6.5%増と1995年の統計開始以来、最高額となっている。

雇用面では47万5,000人の雇用創出が見込まれ、就業者数は2.5%増と前年並みの増加を続けるとされる。失業率は15.5%と前回予測から据え置かれている。

今回の政府予測に先立ち、他機関も2~3月に相次いで2018年のGDP成長率予測を上方修正した。欧州委員会(2.6%)、スペイン中央銀行(2.7%)、金融機関のコンセンサス予想(2.7%)といずれも政府予測と同水準となっている。

なお、政府によるマクロ経済見通しは、3月27日に発表されたもの。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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