2018年度連邦政府予算案、3,385億Cドルの歳出見込む
(カナダ)
トロント発
2018年04月13日
カナダ連邦政府の2018年度予算案は、歳入が3,234億カナダ・ドル(約27兆1,656億円、Cドル、1Cドル=約84円)、歳出が3,385億Cドルで、予備費30億Cドルを合わせると財政赤字は181億Cドルになると見込まれている。赤字額は前年度に比べて13億Cドル縮小し、2022年度までに123億Cドルまで減少すると予想している。しかし、単年度赤字が解消するめどは明らかにしていない。
連邦政府の債務残高は、2018年度で6,696億Cドル(GDP比30.1%)、2022年度には7,301億Cドル(GDP比28.4%)に拡大すると予測されている。2018年のGDP成長率は2.2%、2019年は1.6%、2020年は1.7%と予測している。また、2018年の失業率は6.0%を見込んでおり、2020年度までは6.0~6.1%で推移すると予測している。
連邦政府の2018会計年度は4月から2019年3月までだが、例年3月末に暫定予算が可決しており、6月末までに本予算が承認される見込みとなっている。
中間層に主眼を置いた施策を重視
2018年度予算では、前年度に続き中間層に主眼を置いた男女平等と経済成長が掲げられている。主なものとして、雇用保険による育児休暇を両親間で共有できるように制度を改める。制度改正により、育児休暇を共有しない場合に比べて5週間多く休暇取得が可能となる。
研究とイノベーションの支援には、今後5年間で38億Cドルを投じる。また、先住民に対する支援も重要な施策として掲げられており、今後6年間に14億Cドルを先住民の子供や家族への支援に充てる。
外交、通商面では、WTOおよび北米自由貿易協定(NAFTA)紛争解決メカニズムへの提訴を含めたカナダの針葉樹材業界の雇用支援のため、向こう5年間で1億9,100万Cドルを支出する。2018年6月にケベック州で開催されるG7サミットおよび同年中に開催されるその他一連のG7閣僚会合のために、ホスト国として5億9,400万Cドルを支出する計画となっている。また、サイバーセキュリティー対策として今後5年間に5億800万Cドルを支出し、同分野を専門に扱う機関を設立する。
カナダ商工会議所(CCC)は、トルドー政権は、米国のようなグローバルリーダーとの競争力の差を克服する必要があると指摘し、民間セクターにとってカナダがより魅力的な投資先となるような施策が必要との見解を示している。
(伊藤敏一)
(カナダ)
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