自動車安全基準や衛生植物検疫分野での進展を評価-2018年外国貿易障壁報告書(日本編)-

(米国、日本)

米州課

2018年04月04日

米通商代表部(USTR)は3月30日、2018年版外国貿易障壁報告書(NTE)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同報告書は、米国の貿易相手国における貿易障壁とその改善の進捗を調査したもので毎年3月に公表される。今回の報告書では、日本に関する記述は14ページで、前年より2ページ減少した。対象には、貿易の技術的障壁、衛生植物検疫、輸入政策、サービス障壁、知的財産権保護、政府調達、投資障壁、反競争的行為などの分野が含まれた。

前年に比べて改善した点として、USTRは自動車安全基準や衛生植物検疫分野の見直しを特に評価した。自動車分野では、米国が求めていた自国の前・後方衝突安全基準が2018年1月に認められた。また、衛生植物検疫の分野では2017年9月、アイダホ州産のチップス用ジャガイモの10年間に及ぶ輸入禁止措置が解除され、米国農務省が育苗地を指定することが承認された。

新たな障壁として新薬価制度などを指摘

一方、新たな障壁も盛り込まれた。2017年に厚生労働省が改正した薬価制度では、薬価改定が従来の2年おきから毎年に変更されたほか、革新的な新薬価格の引き下げを一定期間猶予する「新薬創出・適応外薬解消等加算」の対象範囲がより厳格化された。これを理由に、製薬メーカーの予見可能性を損なうとの見方を示した。

また、日本がEUとの間で大筋合意に至った経済連携協定(EPA)で規定された地理的表示の運用によって、米国産の一部産品の商標や、製品の一般名称の利用などに支障が生じる可能性に懸念が示された。従来、米国政府は牛海綿状脳症(BSE)対策として、米国産牛肉を月例30カ月以下に限定していることを是正するよう求めてきたが、BSEを含む伝染性海綿状脳症(TSE)対策の一環として同様に羊肉の輸入制限を課していることについても不満が示された。

(秋山士郎)

(米国、日本)

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