自動車裾野産業ネットワーキングのイベント開催

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年03月22日

ジェトロは2月28日、ブラジル輸出投資振興局(APEX)およびブラジル自動車部品工業会(Sindipecas、シンディペサス)の協力を得て「自動車裾野産業協力・日伯ネットワーキングイベント」を開催した。自動車部品市場は回復の兆しを見せているといわれ、商談会ではブラジル企業9社が進出日系企業7社と商談を行った。

自動車部品市場は回復基調に

ブラジル政府は国内自動車産業強化策の1つとして、2012年に自動車産業技術改革計画「イノバール・アウト」を導入した。同計画は2017年末に終了しており、新たな自動車政策として待ち望まれるのが「Rota2030」だ。同産業の国際競争力強化を目指し、物流やサプライチェーンの改善や構築を目指すもので、概要は2017年4月にマルコス・ペレイラ商工相(当時)から発表されているが、詳細の公式発表には至っていない(2017年4月28日記事参照)。ジェトロでは、こうしたブラジル自動車産業界の動きを踏まえ、2月28日にシンディペサスにて、セミナーおよび商談会を開催した。

冒頭、APEXビジネスディレクターのマルシア・ネジャン氏は、自動車産業はブラジルにとって非常に重要であり、ブラジル経済が回復傾向にある今、同産業も販売や生産台数などで回復の兆しが見えている。ブラジル自動車産業のさらなる強化が必要と述べた。

シンディペサス顧問のエリアス・モファレジ氏はセミナーで、2015年および2016年は国内経済の低迷で自動車部品産業も大きな打撃を受け、産業全体の売上高や投資はいずれもマイナス成長となった一方、2017年は、投資は前年比0.6%増、売上高も24.1%増加したと述べ、市場が回復しつつあることを強調した。

シンディペサスには463の自動車部品関連企業が加盟しており、同市場における売上高の95%を占めている。企業の25%はブラジル資本で、米国(18%)、ドイツ(16%)、イタリア(7%)、日本(7%)と続く。売り上げの62%は国内メーカー向けだが、次いで多いのは輸出(19%)で、2017年は輸出が前年比12.9%、輸入も7.8%伸びた。モファレジ顧問はその要因を、国内市場の回復に加えてアルゼンチンや米国など主要輸出相手国の自動車産業が好調だったからと分析した。

ブラジルの9社が日系7社と商談

続いて、進出日系企業7社とシンディペサス加盟の9社が商談を行った。シンディペサスでは、特に高い技術力を有し国際競争力のある企業を中心に「Brasil Autoparts」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げ、APEXとこれら企業の海外展開を支援している。この度の商談会では、ワイヤーハーネス、燃料タンク、ボルトやナット、トラクター向け部品などを製造するBrasil Autopartsメンバー企業14社(表参照)のうち9社が招待された。商談会に参加した日系企業からは、「今後のビジネスにつながる可能性ができた」「シンディペサスやAPEXとコネクションができたことは有意義だった」といった声が聞かれた。

表 Brasil Autopartsメンバー企業

Rota2030の公式発表には時間かかる見込み

APEXで自動車分野を担当するカリーナ・バズチ氏によると、「Rota2030」の公式発表までには時間を要しそうだ。商工サービス省(MDIC)が示すRota2030の指針には、エネルギー効率性や二酸化炭素(CO2)排出量などに関する自動車の環境効率性や安全性を重視し、ハイブリッドカーや電気自動車などを含む新たな技術開発への投資インセンティブなども盛り込まれているそうで、税制度の簡素化も含まれているようだという。

MDICによると、2018年の自動車生産台数は前年比13.2%増の306万台、輸出台数は5.0%増の80万台となる見込み。自動車部品市場は売上高ベースで250億ドル、2017年比で4.2%増と予測されている。

(辻本希世、山本祐也)

(ブラジル)

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