中国の対韓直接投資、初の20億ドル超え-2016年の中国企業の対外直接投資動向-

(韓国、中国)

ソウル発

2018年03月30日

2016年の中国からの対韓直接投資(申告ベース)は、製造業分野での好調な投資を受けて、前年比3.6%増の20億4,917万ドルと、初の20億ドル超えとなった。特に、輸送用機械、機械・装備、化学工業などがけん引役だった。また、投資分野の多様化が進展した。

製造業が約3.7倍と大幅に増加

韓国・産業通商資源部の発表によると、2016年の中国からの直接投資(申告ベース)は3年連続増加し、前年比3.6%増の20億4,917万ドルと、初の20億ドル超えとなった。同部では「中韓自由貿易協定(FTA)の発効から1年が経過し、不動産、金融に偏っていた投資が文化コンテンツ、電気自動車、ロボット、観光、食品・高級消費財などに多様化したことが中国からの直接投資増加の要因」と述べている。

業種別にみると、製造業が前年比約3.7倍の8億7,154万ドル、サービス業が41.3%減の10億2,181万ドルだった(添付資料参照)。

製造業を詳しくみると、輸送用機械が約11.1倍の2億8,653万ドル、機械・装備が58.3%増の1億8,341万ドル、化学工業が約11.4倍の1億1,802万ドルで、これらが投資のけん引役となった。一方、サービス業は、金融・保険が前年比76.6%減の2億8,127万ドル、不動産・賃貸が26.3%減の1億2,204万ドル、卸売り・小売りが43.5%減の1億116万ドルとなるなど大幅な減少が目立った。

同部では、中国のA社(国有企業)によるマリーナ港湾の新規投資(1億ドル)、中国のB社(半導体後工程部品企業)による同業企業のM&Aおよび工場増設のための増額投資(1億ドル)、中国のC社(R&D業)による電気自動車R&Dセンター設立の新規投資(8,000万ドル)などを主な案件として紹介している(2017年1月3日付けプレスリリース)。

また、中国からの直接投資のうち、グリーンフィールド型投資が前年比約2.5倍の17億9,000万ドルと急増した。同部では、同日付けのプレスリリースの中で、「『Made in Korea』プレミアムの活用、中韓FTAを活用した中国・第三国市場への進出、(中略)新産業分野での韓国の技術力と中国の資本力の連携といった目的での投資が増加した」としている。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国、中国)

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