米国の対中関税賦課は早くても6月初旬以降

(米国)

ニューヨーク発

2018年03月30日

ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、1974年通商法301条に基づく中国への関税賦課の対象品目のパブリックコメントの期間を60日にすると発言した。これに基づき、実際に関税が賦課されるのは早くても6月初旬以降の見込みとなった。

パブリックコメントの期間を60日に拡大

ライトハイザーUSTR代表は、CNBCニュースの取材に答え、1974年通商法301条に基づく対中制裁措置(2018年3月23日記事参照)に関して、関税賦課の対象品目に関するパブリックコメントの期間を60日間にすると発言した(ロイター3月28日)。1974年通商法301条はパブリックコメントの期間を最低でも30日取ることを義務付けており、USTRも当初は同期間を30日とする方針PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を示していた。

公聴会の開催を含めたパブリックコメントは、USTRが4月6日までに公表する関税賦課の対象品目リストに基づいて行われる。その後、USTRは省庁間で構成される委員会の助言を受けながらその結果を審議し、関税賦課の対象品目と税率を確定する。このため、この301条措置に基づき、実際に関税が賦課されるのは早くても6月初旬以降の見込みとなった。

なお、1974年通商法では、301条に基づく措置の最終決定を調査開始後原則1年以内に行うことを義務付けている。USTRは2017年8月18日に中国の技術移転策などに対して本調査を開始(2017年8月24日記事参照)しているため、2018年8月17日までに最終的な措置の発動を決定する必要がある。

中国との2国間交渉を並行して進める

スティーブ・ムニューシン財務長官は、トランプ大統領が示した1,000億ドルの対中赤字の削減に向けて、中国との交渉を並行して行っていることを明らかにしている(フォックスニュース電子版3月25日)。

「ウォールストリート・ジャーナル」紙(電子版3月26日)は、ムニューシン財務長官とライトハイザーUSTR代表が中国政府に宛てて米国政府の要求事項を送ったと報じている。同紙によると、要求事項の中には米国車の輸入に対する中国側関税の削減や、中国の金融市場の米国企業への開放、米国製半導体の購入増加などが含まれている。

(鈴木敦)

(米国)

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