大統領選の投票始まる、シシ氏の再選が確実視

(エジプト)

カイロ発

2018年03月27日

シシ大統領の任期満了である6月を控え、エジプト大統領選挙の投票が予定どおり3月26日から開始された。投票所が混雑する様子は見られず、カイロ市内は通常と変わらず平穏な状況が続いている。投票は28日に終了し、4月2日に結果が公表される。シシ大統領の再選が確実視される中、次期政権の具体的ビジョンの発表が待たれる。

大統領選挙の結果は4月2日に公表

シシ大統領は度重なる政変を経て、2014年6月、国防相から第6代大統領に就任した。就任から4年がたち、予定どおりの日程で大統領選挙が実施された。選挙の2週間前からは街頭に候補者ポスターが掲示されるなど徐々ににぎわいをみせ、シシ大統領は母の日だった3月21日に行われたセレモニーに出席し、自身のアピールと投票を呼び掛けた。投票開始2日前には、カイロから車で3時間程度のアレクサンドリアで爆発事故が発生し、反対派の警告ともみられたが、報道では犯人は既に軍に取り押さえられた。カイロ市内の投票所数カ所に足を運ぶと、まだ投票者はあまり見られないが、投票を呼び掛ける音楽が鳴り響く中、投票者に複数のメディアがインタビューを行う出口調査が行われていた。各種報道などはシシ大統領の再選を確実視しており、出口調査の状況次第では、公表日よりも早く大勢が判明する可能性がある。

写真 投票所に向かう市民(ジェトロ撮影)

有力な対立候補なく、国民の関心は低調

今回の選挙は度重なる対立候補の入れ替わりがあり、最終的には、ムーサ氏(ガッド党党首)が立候補した。同氏はシシ氏支持だったとされているため現政権の演出ともみられ、有力な対立候補がいないこと、またシシ大統領の次期政権における政策が打ち出されていないこと、これまでの取り組みが低所得者層の底上げにつながっていないことなどにより、国民の関心はかなり低い。シシ大統領の手腕により、国際機関からの支援や中東湾岸をはじめ諸外国との関係が強化され、シナイ半島やリビア国境の警備対策も厳重になった。外貨準備高は過去最高額を記録しており、観光客は回復基調、カイロ市内の治安は良好に維持されている。ただし、経済発展のためのより具体的な政策や、低所得者層への支援、高失業率対策など、今後の課題も多い。

(常味高志)

(エジプト)

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