政府、極東の投資家保護とE-ビザ拡大関連法案を提出

(ロシア)

モスクワ発

2018年03月14日

ロシア政府は3月5日、優先的社会経済発展区域(TOR)やウラジオストク自由港入居者に対する10年間の「祖父条項」付与と、インターネット経由での簡易電子ビザ(E-ビザ)申請手続きの対象となる国際空港を拡大させる法案を議会に提出した。対象が拡大すると、極東域内の全ての国際空港を通じてE-ビザで入国できるようになる。

特区内投資家の地位保護を強化

2月22日に閣議で承認された国税基本法の改正法案は、TORおよび自由港入居企業が入居ステータスを獲得してから10年の間、投資家の地位を保護する「祖父条項」を投資家に付与する内容になっている。祖父条項の導入が実現すると、入居以降に法令が改正されたとしても、企業に提供された優遇措置などを含めた投資家の法的地位を保証する役割を果たす。この措置は2017年9月にウラジオストクで行われた東方経済フォーラムにおいて、プーチン大統領が同条項の導入を表明したことがきっかけだ。法案は、3月5日に下院予算税制委員会に提出された。

自由港入居企業でウスリースク産業パークのドミトリー・ラミョノフ副社長は「政府の保証はビジネスにとって重要だ。これにより投資家、特に外国企業は安心できるだろう」と評価した(電子メディアNADV.RU)。

E-ビザでの入国可能地域が拡大へ

閣議では、ウラジオストク自由港制度でのE-ビザ制度による入国対象地拡大に関する法案も承認され、3月5日に下院市民社会・公共および宗教統合問題委員会に提出された。法案が可決されると、E-ビザで入国できる空港が現在のウラジオストク国際空港から他の空港にも広がる。極東発展省の発表(2月22日)によると、拡大対象とされる空港のうち、ペトロパブロフスク・カムチャツキー、ユジノ・サハリンスク、ハバロフスク、ブラゴベシチェンスク(アムール州)、アナディリ(チュコト自治管区)にある5つの国際空港で既に技術的な対応が完了しており、マガダン、ヤクーツク〔サハ共和国(ヤクーチヤ)〕、プロビデニヤ(チュコト自治管区)の国際空港で対応作業が続いているという。

E-ビザは、2017年8月にウラジオストク国際空港とウラジオストク港、2018年1月には沿海地方の7つの国境地点やコルサコフ港(サハリン州)、ペトロパブロフスク・カムチャツキー港で導入された(2018年1月10日記事参照)。2月20日現在で、E-ビザを利用して14カ国5,700人の外国人が入国しており、うち最も多いのが中国人で3,800人、次いで日本人1,700人となっている(極東発展省発表2月22日)。

(タギール・フジヤトフ)

(ロシア)

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