政府、CPTPPの署名合意を歓迎

(オーストラリア)

シドニー発

2018年02月06日

マルコム・ターンブル首相とスティーブン・チオボー貿易・観光・投資相は1月24日、前日に東京で開催された「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」(いわゆる「TPP11」)の首席交渉官会合における署名合意について、歓迎の意を表した。また、CPTPPにおける日本の市場開放への期待などについても言及した。

貿易拡大による輸出・雇用増を強調

ターンブル首相およびチオボー貿易・観光・投資相は1月24日、CPTPPの首席交渉官会合における署名合意について、連名でプレスリリースを発表した。概要は次のとおり。

○政府は輸出拡大および新規雇用を創出するため、リーダーシップを発揮し、CPTPP締結に意欲的に取り組んだ。この結果、オーストラリアを含む11カ国は、東京で開催された首席交渉官会合において署名合意に至った。署名は3月にチリで実施される予定。

○CPTPPでは、加盟国間の関税の98%以上が撤廃され、GDPは13兆7,000億オーストラリア・ドル(約1,205兆6,000億円、豪ドル、1豪ドル=約87円)規模に上る自由貿易圏が誕生する。オーストラリアにとっては、カナダやメキシコとの間で新たな自由貿易協定(FTA)が締結されることとなり、さらに日本やチリ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイとの間でも市場アクセスの拡大が図られる。CPTPP加盟国向けの輸出額(2016、2017年)は、オーストラリア総輸出額の4分の1を占め、880億豪ドル相当に上る。

○今回の(署名)合意で、企業や農家はより多くの食品や繊維、サービスをより容易に輸出できる機会を獲得する。貿易拡大により、地場企業の輸出増加および雇用創出につながる。労働者、企業、農家、消費者のいずれにとっても有益で、数十億豪ドルの利益を得るだろう。

日本市場への輸出拡大にも期待

今回のプレスリリースでは、品目別の合意状況にも言及した。羊肉、綿、羊毛、魚介類、園芸作物、ワイン、工業製品で関税が撤廃されるほか、日豪経済連携協定(EPA)で対象外だった牛肉の関税削減やチーズの一部撤廃がある。また、小麦やコメおよび砂糖の関税割当が新設され、日本市場へのさらなる輸出拡大へ期待をにじませた。

なお、国内の雇用問題が大きな課題となっている中、ターンブル首相らは、これまで「(米国の離脱により)崩壊したTPPからオーストラリアも撤退するべきだ」と訴えていた野党・労働党を批判し、「撤退していたら、今回のCPTPP合意による恩恵を得ることはできなかった」と主張した。

(藤原琢也)

(オーストラリア)

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