サナンド地区に新たな工業団地を開発-関心高まるグジャラート州の現状(2)-

(インド)

ニューデリー発

2017年10月27日

製造業ハブとしての成長期待が高まるグジャラート州で、同州政府は新たな工業団地の開発を進めている。しかし今後、同州へのさらなる企業進出には、物流インフラ整備や人材育成などを一層加速させる必要がある。

進む日本企業向けの工業団地整備

グジャラート州における日本企業のモノづくり拠点の1つである「マンダル日本企業専用工業団地」は、州政府が開発・運営し、ジェトロが入居手続きやインフラ、各種の投資環境整備を支援している。同工業団地はアーメダバードから車で約1時間半の場所に位置し、現在は企業5社が入居、合計100億ルピー(約170億円、1ルピー=約1.7円)の投資、2,000人の雇用創出が予定されている。スズキとホンダの生産拠点にも近接し、約300エーカー(約121万平方メートル)のフェーズ1がほぼ入居済みで、フェーズ2の整備が開始されている。

州政府は、マンダルに続く日本企業向け工業団地として、サナンド・コーラジ地区に新たな工業団地〔サナンドIII(コーラジ)工業団地(仮)〕の開発を進める。同工業団地は、州が道路などの物流インフラ、生活環境(医療、インターナショナルスクールなど)の整備をした上で、日系企業に優先的に分譲する団地と位置付けている。

日本企業誘致対象ゾーンの規模は1,750エーカーを予定。同地区は、アーメダバード市内から西に幹線道路の州道7号線(SH7)を車で40分ほどに位置し、利便性の高い立地といえる。新工業団地は既存のサナンド工業団地からSH7沿いに6キロ西に位置し、スズキ・モーター・グジャラート(SMG)からは車で約1時間半、ホンダ・モーターサイクルアンドスクーター・インディア(HMSI)の第4工場からは1時間程度の場所だ。周辺には日本食レストランが2軒あり、日本人駐在員が多く居住する地域からは約30分だ。

写真 サナンド3(コーラジ)工業団地予定地(ジェトロ撮影)

国際標準の投資環境整備には課題も

電力や水資源といったインフラに恵まれ、デリー・ムンバイ産業大動脈(DMIC)の中心に位置する同州は、自動車産業を中心に今後も企業進出が進んでいくとみられるが、真の企業集積を実現するための課題も認識されている。

第1に、サプライチェーンを拡大するための物流インフラの整備、第2に製造系人材の育成と確保、第3に自動車セットメーカーが集積するアーメダバード近郊地区における国際標準の病院や学校、ホテルといった生活環境の整備だ。こうした課題は州政府、日印両政府も共有しており、今後の周辺環境整備に向けた取り組みが開始されることになっている。現在はまだ、のどかな風景も残すグジャラート州だが、新たな産業都市への変化が始まろうとしている。

(古屋礼子)

(インド)

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