天津市、2017年賃上げ基準ラインは横ばいの9%-上限ラインは14%、3年連続の引き下げ-

(中国)

北京発

2017年08月08日

天津市は7月19日、2017年の賃上げ基準値である賃金ガイドラインを発表した。それによると、賃上げの基準ラインは9%、上限ラインは14%、下限ラインは3%となり、上限ラインは前年比2ポイント引き下げられた。基準値と下限値は2016年と同じだった。

労使の賃金交渉の目安

「2016年の天津市企業の賃金ガイドラインの通知」は、法的強制力はないが、賃金の団体交渉制度を導入している企業などで、労使が賃金交渉を行う上での目安になっている。同通知の内容は以下のとおり。

○2017年の賃金ガイドラインは基準ライン9%、上限ライン14%、下限ライン3%とする(表参照)。ただし、天津市の最低賃金月額2,050元(約3万2,800円、1元=約16円)を下回ってはならない。

表 天津市の賃金ガイドラインの推移

○宿泊飲食業、建築業、リースおよび商業サービス業、水利環境・公共施設管理業、小売・卸売業、交通運輸倉庫および郵送業、住民サービス業などの業種の賃金ガイドラインは天津市人力資源・社会保障局が別途公表する。

○企業は自社の経済的便益、人件費を勘案し、賃金ガイドライン、労働市場の給与水準などを踏まえ、賃金調整を行う。具体的には、(1)前年度の平均賃金が天津市の平均賃金(2016年:月額5,265元)以下の企業は、賃金上昇率を賃金ガイドラインの基準ライン(9%)と上限ライン(14%)の間で調整すること、(2)前年度の平均賃金が天津市の平均賃金を上回っており、3倍未満だった企業は、賃金上昇率を賃金ガイドラインの下限ライン(3%)と上限ラインの間で調整すること、(3)前年度の平均賃金が天津市の平均賃金の3倍以上の企業は、原則として賃金上昇率が賃金ガイドラインの基準ラインを上回らないよう調整すること、(4)賃金ガイドラインに沿った賃上げを行わない企業は従業員にその理由を説明すること。

○賃金団体交渉を実施する企業は「天津市賃金団体交渉条例」の規定により、賃金ガイドラインに基づき賃金の団体交渉を行い、賃金団体協議書を締結し、賃金上昇率を取り決める。

○天津市に所属する単独資本国有企業、国有持ち株会社などは賃金ガイドラインに基づき、賃金上昇率を決める。

今回発表されたガイドラインの基準ラインと下限ラインは2016年と同じになった。一方、上限ラインは前年より2ポイント引き下げられ、2015年以降3年連続の引き下げとなった。なお、6月に発表された天津市の従業員平均賃金(2016年)の上昇率は6.5%(2017年5月19日記事参照)、7月1日施行の最低賃金の上昇率は5.1%(2017年6月29日記事参照)だった。

(鄭慧)

(中国)

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