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輸出8割を条件に各種の免税措置-ZPEセアラをめぐる投資環境(1)-

(ブラジル)

サンパウロ発

2017年08月16日

ブラジルでは複雑かつ高率の税金が進出企業にとっての課題として挙げられているが、過重な税金を避ける手段の1つとして税恩典の与えられる特区に進出する方法がある。かつては多くの日系の二輪車や電気電子企業も進出済みのマナウス・フリーゾーン(ZFM)が、連邦税が減免される唯一の地域だった。しかし近年、同様の減免措置などを享受できる輸出加工区(ZPE)が整備されている。今回、ZPEの中でも韓国が出資する製鉄所の誘致に成功したセアラ州のZPEについて取り上げ、日本企業の新たな投資先としての潜在性について、3回に分けて報告する。

セアラ州は北東部第3の経済州

セアラ州が位置するブラジル北東部は、1人当たり所得が最も低い地域に位置付けられるが、人口規模が大きく、今後の経済成長余地も大きい地域だ(図参照)。ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2014年時点で北東部の人口は5,619万人と全国の27.9%を占める一方、GDP規模は8,050億レアル(2017年7月14日時点の1ドル=3.2レアルで換算すると約2,516億ドル)と全体の13.9%を占めるにすぎない。

図 ブラジルの地図とZPEセアラの位置

今回取り上げるセアラ州は、北東部でバイア州、ペルナンブコ州に次ぐ第3の人口と経済規模を有する。人口884万(北東部の15.7%)、GDP規模1,260億レアル(北東部の15.7%)、1人当たりGDPは1万4,255レアルだ。セアラ州の産業別GDPシェアは、農林水産業の合計が5.2%とブラジル全体5.0%を少し上回り、製造業は9.3%と全国の12.0%を下回る(表1参照)。しかしセアラ州では近年、臨海部に輸出加工区(ZPE)と呼ばれる工業団地を整備し、工業発展に力を入れている。

 表1 ブラジルのGDPに占める産業別シェア比較(2014年)

税の減免以外に中古資本財の輸入手続きも簡素化

ZPEとは、主に外国企業を誘致し、先進技術の取得・普及、地域の雇用創出、社会・経済発展を目的に、1988年7月29日付法令2452号により創設された制度で、輸出を条件に立地企業に恩典を与えるフリートレードゾーンだ。現行の制度は2007年法律11508号、2008年法律11732号、2012年法律12767号を根拠とする。

具体的な恩典は、国内で購入する資材・サービスに関して連邦税である工業製品税(IPI)や社会負担金(PIS/Cofins)の保留、海外から購入する資材・サービスに関してはさらに追加で輸入税(II)、商船隊更新税(AFRMM)の保留が定められている。州税である商品流通サービス税(ICMS)も保留される。セアラZPEは北東部の経済振興地域に位置するため、10年間にわたる法人所得税(IRPJ)の75%の免税措置、加速度償却制度が利用できる。また、税的恩典以外にも、通常は必要となる輸入許可手続きが免除(ただし検疫や環境保護、国家安全保障上の規則は適用)、輸出代金の全てを外貨で保有することが認められているほか、国産類似品検査が厳しく輸入が難しい中古資本財の輸入手続きも簡素化されている。なお、ZPEでの設立・操業を承認された企業は上述の恩典を20年間享受することができ、政府の承認を得られればさらに20年間延長することも可能だ。

恩典を享受するには80%以上の輸出義務

ZPEで恩典を得られる条件は、税引き前売上高(暦年ベース)の80%以上を輸出すること(ZPE域内の販売は輸出と見なされる)だ。また各種税金の保留が受けられるのは、生産活動に必要な原材料、中間財、包装材、資本財の購入に限られる。ZPE域内での企業の活動開始は、ZPE審議会および税関当局の事前許可が必要となる。税引き前売上高の20%未満であれば国内販売も可能だが、その場合は保留されている各種税金が課せられる。それは製品そのものへの税金だけでなく、製造に使用した資材にかかる輸入税などを含む。

なお、ブラジルで連邦税が免除されるフリーゾーンとしては、二輪車や電気電子産業が立地するマナウス・フリーゾーン(ZFM)がある。ZFMの場合は、ZPEのような輸出要件がなく、国内販売でも一定の税減免を享受できる点に優位性がある一方、事前に政府に承認された基本製造工程(PPB)の履行要件が存在する。その点、ZPEはPPBが存在せず、域内での製造工程の自由度が保たれている(表2参照)。

表2 ZPEセアラとZFMの税恩典などの比較

これまでブラジル国内で25のZPEの設置が承認され、18州19カ所でZPEの開設準備が進んでいる。中でもアクレ州、ピアウイ州、セアラ州の3州では、既に製造業が進出し、稼働している。業種をみると、アクレ州では化学品、農産品、木製品、ピアウイ州では農産品、植物性廃棄物ペレット、セアラ州では製鉄、鉄鉱石供給、ガス精製などが主要業種だ。特にセアラ州のZPEは北東部の主要港湾ペセン港に隣接しており、ロジスティクス面での優位性を持つ。

(二宮康史)

(ブラジル)

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