ロス商務長官、外国投資歓迎の姿勢をアピール-新政権で初めてのセレクトUSA投資サミット開催-

(米国)

ニューヨーク発

2017年06月29日

米国への投資を呼び掛ける商務省主催のイベント「セレクトUSA投資サミット」が6月18~20日、ワシントン近郊で開催された。ウィルバー・ロス商務長官をはじめ政府高官らが、海外から参加したビジネスパーソンらに米国の投資先としての魅力を訴え、投資を歓迎する姿勢をアピールした。参加者は3,000人を超え、対米投資への関心の高さがうかがえた。

前回上回る3,000人超が参加

商務省が主催するセレクトUSA投資サミットは、対米投資を促進するために開催されており、今回で4回目。政府高官、米国企業や進出外資系企業の幹部、州知事らが米国市場の最新動向や投資先としての魅力などについて、講演やパネルディスカッションなどを行った。また、隣接する展示会場では、投資誘致を狙う州政府など地方自治体、経済団体などが合計150以上の広報ブースを出展し、情報収集を行う参加者でにぎわった。

商務省によると、今回のサミットには64カ国・地域から1,200人以上の訪問団が参加したほか、州政府など出展関係者を合わせると参加者は2016年の2,500人を大幅に上回り、過去最多の3,000人超に上ったという。国・地域別では中国からの参加者が150人超と最も多く、これに台湾が続いた。日本も3番目の130人近くに上り、存在感を示した。参加者が増えた理由について、サミット事務局関係者は「米国経済が好調であることに加え、新政権の経済政策に関心が高まっている」との見方を示した。

貿易救済措置の運用を強化

同サミットはオバマ前大統領のイニシアチブで開始された。今回はトランプ政権になって初めてで、新政権が海外からの投資に対してどのようなメッセージを発するのか注目された。そうした中、サミットのホスト役であるロス商務長官は冒頭のあいさつで、「トランプ政権は外国投資家が自信を持って米国に投資できるように最大限の努力をする。参加企業による投資を歓迎する」と強調した。

さらに、「海外からの投資により(米国と外国投資家の間で)相互に利益が生まれ、われわれにとっては最も重要な、勤勉な米国人のための雇用が創出される」と、雇用拡大への期待を表明した。一方、相殺関税、アンチダンピング税についても触れ、「米国の通商法を厳格に適用していく」と、貿易赤字削減に向けて貿易救済措置などの運用を強化する姿勢も示した。

あらゆるエネルギー分野への投資を歓迎

リック・ペリー・エネルギー長官は「就任時にトランプ大統領から、米国のエネルギーの独立性を保つだけでなく、世界の主導権を握るように言われた。米国の安全保障を強化していきたい」と、エネルギー安全保障を重視する姿勢を示し、「米国には多様なエネルギーがあり、あらゆる分野への投資を歓迎する。省エネ・再生エネルギーの活用が拡大しており、多くのビジネスチャンスがある。こうした分野への投資も歓迎する」と呼び掛けた。

財務長官は税制改革に意欲示す

スティーブ・ムニューシン財務長官は「税制改革、金融などの規制改革に取り組んでおり、政府は継続的な経済成長を目指している」と述べ、特に、「税制改革は過去30年の課題。法人税率は世界で最も高くなっている。また、米国の投資がオフショアに向かっている。これらを変えて、米国内への投資を推奨していきたい」と税制改革への意欲を示した。関心の集まるインフラ開発については、「官民連携(PPP)が非常に重要で、海外からの投資に期待する」として、インフラ分野においても外資への期待を表明した。

米国の投資先としての魅力について、ムニューシン長官は「米国は法治国家であり、知的財産は保護されている。米国は多様性に富み、強固なファンダメンタルズを持った経済だ。起業家精神に富みイノベーションが活発な国でもある。また労働者の生産性も高い」と指摘した上で、「米国の消費者は将来に対してますます楽観的になっている。強い労働市場、規制改革によって、経済はさらに成長していくと見込んでいる」と述べた。

同サミットではジェトロの眞銅竜日郎理事が、各国の投資誘致機関の代表が集まり投資誘致活動のベストプラクティスについて議論するラウンドテーブルに登壇。ジェトロが2016年2月に米商務省セレクトUSAと締結した日米双方向の投資促進に資する協力趣意書に基づき、両国企業向けのセミナーやマッチングイベントを多数実施していることを紹介し、双方向の関係を築くことの重要性を強調した。

なお、2018年のセレクトUSA投資サミットは6月20~22日に開催されることが発表された。

(若松勇)

(米国)

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