最低投資額の実行期限は原則2年以内-投資調整庁が手続きに関するセミナー開催-

(インドネシア)

ジャカルタ発

2017年04月21日

 インドネシア投資調整庁(BKPM)は3月29日、日系企業を対象とした投資セミナーを開催した。レスタリ・インダー副長官は、外国企業による最低投資額の実行期限、ディストリビューターによる国内販売経路、製造ディストリビューターの設立要件や業態に関して説明した。本セミナーにより、外国企業の投資手続きについて、これまで曖昧だったポイントが明らかになった。

事業活動用なら半製品・完成品とも販売可能

インドネシアでの外国企業の設立に当たっては、最低投資額は100億ルピア(約8,200万円、1ルピア=約0.0082円)(土地・建物を除く)、払込資本金は25億ルピアと定められている(BKPM長官規程2015年第14号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。また、投資原則許可(Izin Prinsip:IP)の取得から始まる設立プロセスでは、事業許可(Izin Usaha:IU)を取得しなければ、操業開始が認められない(BKPM長官規程2015年第15号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。レスタリ副長官によると、BKPMはIP発行企業に対して、資本金25億ルピアの払い込みと投資計画書を確認し、有効期限1年間のIUを発行しているが、期限内に最低投資額に到達しない場合でも、申請に基づき、さらに1年間のIUを発行しているという。しかし、追加1年間の期限内に最低投資額の払い込みがない場合には、原則としてIUを取り消す方針とのことだ。従って、最長2年間の期限内に最低投資額以上の投資を実行できるめどが立たない場合は、事前にBKPMに相談するよう呼び掛けた。

また、同副長官は商業大臣規程2016年第22号に基づくスキーム図を用いて、「ディストリビューター」による国内販売経路に関するルールについて解説した(図参照)。外資系を含むディストリビューターは、(1)スーパーマーケット、百貨店、ハイパーマーケットなどのモダンストア、(2)ローカルの卸売業者、(3)ローカルのエージェント、(4)製造業者、に対して直接販売することができる。他方、小売り・最終ユーザーに対する直接販売は認められない。

特に、(4)製造業者への販売は図の説明では半製品のみとなっているが、同副長官は、買い手が事業活動のために用いるものであれば、半製品、完成品ともに販売が可能とした。例えば、レストランやホテルで消費者に供する料理の原材料として、食品・飲料などを最終製品として卸すことが認められる。

図 ディストリビューターの販売経路

製造ディストリビューターによる輸入販売も認可

現行の「ネガティブリスト(大統領規程2016年第44号PDFファイル(0.0B)、および別表PDFファイル(0.0B))」によると、外国企業が設立可能な「ディストリビューター」は、「製造ディストリビューター」と「生産系列にないディストリビューター」の2種類に大別される(2016年6月17日記事参照)。

このうち、製造ディストリビューターについては、外資100%の設立が可能なため、進出日系企業から注目が集まっているが、これまではその設立要件や業態についてのBKPMの説明は曖昧な点が多かった。レスタリ副長官は設立要件について、(1)インドネシアに製造拠点があり、親会社やインドネシア拠点など資本関係のある会社が出資して設立すること、(2)インドネシアの製造拠点が合弁企業である場合、同拠点に対して過半の出資比率を有する会社であること、とした。また業態としては、(1)当該インドネシア製造拠点による製品の卸売り、(2)同一資本系列にある海外拠点の製品の卸売り、とした。

今回のセミナーで、親会社など同一資本系列の会社による製品である限り、インドネシア国外からの輸入製品についても「製造ディストリビューター」による国内流通が認められる点が明らかになった。ただし、医療機器分野などでは、管轄省庁による規程が別途存在し、インドネシアに製造拠点を有していても、外資ディストリビューターによる国内流通が認められない場合もあるため、注意を要する。

(山城武伸、鎌田慶昭)

(インドネシア)

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