条件付き投資分野を243分野に削減-投資法の一部改正法を国会が可決-

(ベトナム)

ハノイ発

2016年12月20日

 ベトナム国会は11月22日、投資法における条件付き投資分野リストに関する第6条および付録4を改正・補完する法律を可決した。同法は2017年1月1日に施行され、条件付き投資分野が267分野から、廃止や分割・統合などにより、243分野へと24分野削減される。

<条件付き投資分野の削減は当初案より小幅に>

 今回の改正は、企業の投資環境改善や、関連法律間の規制の不整合を是正することなどが狙いとされている。同法の内容は法律番号取得前の国会承認時の法案を基にしており、施行までに細部の修正が加わる可能性がある。主な内容は以下の2点だ。

 

○投資禁止分野の追加(第1条第1項)

 投資法第6条第1項に定める投資禁止分野に「爆竹の販売」を追加。

 

○条件付き投資分野の削減(第1条第2項)

 投資法別表第4に定める条件付き投資分野のリストを改定し、対象が現行の267分野から243分野に削減される(添付資料参照)。

 

 ベトナム政府は当初、削除や整理などによって条件付き投資の対象分野を226まで減らす案を示していたが、国会での審議を経て、削減数が抑えられたかたちとなった。

 

 また、多数の分野がリストから削除された一方で、「自動車の生産、組み立て、輸入」や「留学コンサルティングサービス事業」など、21分野が新たにリストに追加された。

 

 同法は201711日に施行することとされているが、リストに掲載された分野のうち、「録音、録画、測位のための擬装機器、関連ソフトウエアの事業」および「自動車の生産、組み立て、輸入」については、201771日から有効になる。

 

<法改正の影響は既進出企業にも波及>

 条件付き投資分野において投資活動を実施するに当たっては、国防、国家の治安、社会の秩序、安全、社会道徳などの理由により、一定の条件を満たさなければならないとされている。具体的には各分野の法律、政令などの規定に従い、営業許可証、条件具備証明書、職業免許証などの各条件を満たす必要がある。外国企業が条件付き投資分野で事業活動を行う場合には、投資法に基づく投資登録証明書(IRC)と企業法に基づく企業登録証明書(ERC)の取得に加え、前述の条件を満たす必要があるため、対象外の分野と比べると事業の立ち上げまでより多くの手続きと時間を要することになる。政府は、新しく追加された投資分野の条件の詳細を順次公布するとしている。なお、具体的な条件については、国家企業登サイト(ベトナム語のみ)で一覧できる。

 

 また、今回の法改正により、これから新規で投資を行う企業のほか、新たに対象となった分野で事業を行っている既進出企業も条件を満たす必要が出てくると考えられる。この場合、該当する企業は政令などで定められる条件への対応を求められることになるため、今後どのような条件が付されるか、留意が必要だ。

 

 他方、今回の改正によって削除された分野の投資条件を定める法律、政令などの規定は、改正法の施行に伴い、効力が失われることになるとみられる。

 

(佐々木端士、北嶋誠士)

(ベトナム)

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