各州とも優れたビジネス環境を強調-日本・米国南東部会を東京で開催-

(米国、日本)

米州課

2016年10月05日

 米国南東部7州の政府関係者や経済人と、同地に関係の深い日本企業が参加する合同会議である日本・米国南東部会が9月21日、東京都内で開催された。各州政府代表からは、自州の優れたビジネス環境や日本企業との長年の良好な関係などについて報告があった。パネルセッションでは日米共通の課題である環境・エネルギーとイノベーション、貿易と投資について、活発に意見が交わされた。

<企業誘致の競合相手だが連携も重要>

 日本・米国南東部会は1975年に創設され、今回が39回目となる。米国からはアラバマ、フロリダ、ジョージア、ミシシッピ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テネシーの南東部7州の政府・企業関係者、日本からは南東部に拠点を置く日本企業などの約250人が参加した。

 

 南東部は近年、事業環境に対する評価が上がり、日本企業の進出が相次いでいる。賃金、賃料といった事業コストや労働組合組成率の低さ、税制面での優位性、西海岸で高騰する住居費と比較した住環境面での魅力などが好感されていることに加え、州政府の積極的な誘致活動が功を奏しているとされる。テネシー州経済開発庁のランディー・ボイド長官はスピーチの冒頭で、最近の調査ではビジネスのしやすい州の上位10州に南東部の7つの州全てがランクインしているものがあったことを紹介した。これは偶然ではなく、投資先としての魅力を証明している、と評価した。

 

 フロリダ州のケン・デッツナー州務長官は南東部7州について、ビジネス、雇用、マーケットシェアにおいては互いに企業誘致の競合相手だが、連携の重要性も理解していると、合同会議の意義を強調した。フロリダ州は中南米への玄関口で、ソニー、トヨタ、三菱日立パワーシステムズなど多くの企業が中南米ビジネスの拠点を設置していることを紹介した。多くの日系企業がフロリダ州を中南米へのゲートウエーと捉え、資金へのアクセス、輸送、コネクティビティーを評価して選択している、と述べた。

 

<TPPなど日米のリードが重要と認識>

 パネルセッションでは、「環境・エネルギー&イノベーション」「貿易と投資」をテーマに日米有識者が最新の情報を基に意見を交わした。「環境・エネルギー&イノベーション」については、パリ協定が2015年12月に締結されたことを受け、各国で達成に向けて、イノベーションが今後の経済・環境・エネルギー問題を解決するカギになっていく、との認識が共有された。そのために、政府が先導役となってクリーンエネルギーへの予算を増やし、積極的に投資していくこと、また、産業と教育分野のコラボレーションを支援していくこと、を期待するとの意見が聞かれた。

 

 「貿易と投資」のセッションでは、2016年2月に署名された環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の批准に向けて、TPP参加国の中で圧倒的な経済力を持つ日米がリードして批准のプロセスを進めるべきだ、との認識が共有された。また、TPPがもたらす利益について各国の国民に分かりやすく説明する努力をするととともに、TPPによって影響を受ける者に対してはそれを補う措置が必要、との意見があった。

 

 なお、次回の南東部会は201710月にサウスカロライナ州グリーンビルで開催される予定。

写真 南東部会パネルセッションの様子(ジェトロ撮影)

(伊藤実佐子)

(米国、日本)

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