日系企業が主催・参加のイベントに延期や中止の動き-現地の国際ギフトフェアやMETALEXは予定どおり開催-

(タイ)

バンコク発

2016年10月21日

 プミポン国王の死去に伴い、タイ政府が10月14日以降、1ヵ月間の娯楽・興行を「可能な限り控える」よう要請したこと、また、国民の催事自粛ムードなどの影響により、2016年内に予定されていた一部のビジネス関連イベントの中止や延期が報告されている。一方、商務省国際貿易振興局(DITP)は、全ての経済・貿易関連のイベントを予定どおり実施する方針を示しており、国際ギフト&家庭用品フェアや金属加工関連の総合見本市METALEXなどの大規模展示会は予定どおり実施される。観光関連では、いったん中止と発表されたイベントが、実施の方向に変わるなどの例もみられ、各種イベントに関しては最新の実施状況を注視する必要がある。

<コンテンツ関連の展示会やビジネス商談会が延期・中止に>

 ジェトロは1020日の時点で、公開情報や関係機関からの聞き取りに基づき、日系企業が主催もしくは参加などのかたちで関わる2016年内の主なビジネス関連のイベントのうち、中止もしくは延期が決定されているイベントの一覧(日本企業関連イベント、把握できたものに限る)を表のとおり取りまとめた。

表 タイ国王死去にかかる日系企業などへの影響(セミナー、ミッション、展示会などイベントの延期や中止)

 ビジネスに関連する主なイベントでは、日本のコンテンツ(アニメ、漫画、ゲーム、音楽)のPRを目的に、102223日に開催される予定だった「C3 in Bangkok 2016」(C3 in Bangkok実行委員会主催)の延期(日程未定)、1122日に予定されていた日・タイ企業間のビジネス商談会である「第6回タイ・ビジネスマッチングセミナー」(サシン日本センター主催)の中止などが発表されている。そのほか、自治体レベルでのセミナーや商談会、視察ミッションなどの一部で、中止や延期が報告されている。

 

 日系企業各社の対応でも、事務所の開設パーティーをはじめとする催事などの当面の中止が報告されている。また、一部の企業では、タイ政府から娯楽・興行を控える期間として示された30日間ではなく、100日間を区切り期間とし、1月下旬までの催事を延期する対応なども取られている。

 

 ビジネス関連イベントのほか、泰日協会学校(在タイ日本人学校)は、1113日にバンコク校およびシラチャ校の両校で行われる予定だった運動会の中止を決定した。発表に際し、学校側からは、予定日が弔意を示す期間内であることから、音楽や応援の声援などを伴う行事については自粛すべきだと判断した、と説明されている。

 

<商務省国際貿易振興局は予定どおり活動実施を発表>

 一方、商務省国際貿易振興局(DITP)は同ウェブサイト上に、「タイ経済・貿易が、力強く、確実に前進する勢いを衰えさせないため、DITPは全ての活動・イベントを予定どおり実施する」との方針を発表。同方針に伴い、既に101923日の日程で、「バンコク国際ギフト&家庭用品フェア2016」(DITP主催、バンコク国際貿易展示場)が予定どおり開催されている。また、ASEAN最大の金属加工関連の総合見本市として知られる「METALEX 2016」についても、現在のところ112326日の日程で、予定どおりの開催が見込まれている(Reed Tradex Company主催、バンコク国際貿易展示場)。

 

 主な観光関連行事では、タイ国政府観光庁のウェブサイトに主要な観光関連イベントの実施、中止・延期の予定などを掲載しているほか、観光施設の開館・営業状況などを案内している。

 

 観光関連情報は日々更新、変更されており、いったん中止が発表された観光イベントが、再協議の上、実施の方向に切り替わるケースなども散見される。主要施設の訪問やイベントへの参加の予定がある場合には、同ウェブサイトで最新情報を確認することが推奨される。

 

(伊藤博敏)

(タイ)

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