3Dプリンターによる製造技術などが注目集める-シカゴで工作機械見本市IMTS開催-
(米国)
シカゴ発
2016年10月06日
世界最大級の工作機械見本市「IMTS(International Manufacturing Technology Show)2016」が9月12~17日、イリノイ州シカゴ市で開催された。世界各国から工作機械や機械工具、周辺機器、ロボット、3Dプリンターのメーカーなど約2,400の企業・団体が出展し、112ヵ国・地域から約11万5,600人が来場した。
<世界の主要メーカーが出展、日本企業に存在感>
IMTSは工作機械や機械工具、治具やロボット、3Dプリンターなどさまざまな製造設備が並ぶ、展示面積約12万7,000平方メートルを誇る世界最大級の見本市だ。IMTSは、欧州で開催される国際金属加工見本市(EMO)、日本の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)と合わせて、世界3大工作機械見本市の1つとされている。今回、日本からは、工作機械大手のヤマザキマザックやDMG森精機、オークマのほか、数値制御(NC)装置やロボットを手掛けるファナック、工作機器のTHKなどが出展した。松浦機械製作所、安田工業などの中小企業も出展し、日本企業の存在感が目立った。日本企業以外では、ドイツのシーメンスや米国のハース・オートメーション、韓国のDoosan(斗山)、台湾のFFG MAGなどが大きな展示ブースを構え、ドイツや台湾などが国・地域別パビリオンを設置した。
IMTSの主催者である米国製造技術協会(AMT)によると、例年、IMTS終了後に工作機械の受注額は3割程度増加するとされる。今回のIMTSでも、国内外から製造業関係者が集まり、受注につながる積極的な商談が行われた。
<3Dプリンターで作った外壁や車体がお目見え>
IMTSでは、各社の最新機械や機器に加え、新たな技術を紹介するパビリオンが設置されるのが通例となっている。今回は、多くの工作機械メーカーが製造設備をネットワークに接続し、工場の製造設備の生産状況や稼働状況を遠隔地にある本社などで把握できるシステムを展示した。米エネルギー省オークリッジ国立研究所(ORNL)は、太陽光発電を有する210平方フィート(約20平方メートル)の移動式住宅と、住宅と接続可能なハイブリッド車を組み合わせたエコ住宅のモデルを展示した。住宅の外壁とハイブリッド車の車体を3Dプリンターで製造し、注目を集めた。
<米国の工作機械市場に漂う停滞感>
米国の工作機械市場は、好調な自動車販売に牽引されるかたちで自動車関連企業向けの設備投資が高い水準で推移していたが、2016年に入り、停滞感が漂う。AMTの発表によると、2016年1~7月の金属加工機械の受注額は前年同期比で16.3%減の約20億9,000万ドルとなり、低下傾向で推移している。日本工作機械工業会によると、2016年1~7月までの日本の工作機械の海外需要は、米国が約27%を占めている。
<ジェトロも情報提供や見学ツアーで支援>
ジェトロは、IMTSの期間に来訪する日本企業向けにセミナーを開催した。米国製造業の最新動向のほか、日米の商慣行の違いや米国における営業手法などについて、専門家による講演を行った。また、IMTS会場で、主催者であるAMTが引率し、3Dプリンターや工作機械など最新技術に関する見学ツアーを行った。
次回のIMTSは、2018年11月10~15日、シカゴ市での開催を予定している。出展には、2016年10月12日までの申し込みが必要となる。また、11月には世界3大工作機械見本市の1つであるJIMTOFが東京ビッグサイトで開催される。
(高橋貴洋、スティーブン・ブーロ)
(米国)
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