外資系企業の投資手続き、全国でオンライン届け出制に

(中国)

上海発

2016年10月26日

 商務部は10月8日から、外資系企業の投資手続きを簡素化するため、ネガティブリストに該当する業種を除いて、審査許可制からオンラインシステムによる届け出制への移行を全国で開始した。上海市商務委員会によると、現段階では「外商投資産業指導目録(2015年版)」の制限類・禁止類リストがネガティブリストとして適用されており、同目録の奨励類19分野についてのみ届け出制が認められているという。

<目録の奨励19分野にのみ適用>

 商務部は108日、「外商投資企業の設立および変更の届け出による管理に関する暫定弁法」を公布し、同日から施行した。これまで外資系企業の設立などの際には、商務部または商務部の地方機関の審査許可を受ける必要があったが、ネガティブリストに該当する業種を除いて、商務部のオンラインシステム「外商投資総合管理情報システム」で届け出をすれば済むことになった(2016年9月13日記事参照)。

 

 この届け出制に関して、上海市外国投資促進センターは1018日、政策解読会を開き、上海市商務委員会・外資処の劉朝暉処長が具体的な運用方法を説明した。概要は以下のとおり。

 

1)ネガティブリスト

 政府は2013年から中国(上海)自由貿易試験区で、外資系企業の投資について届け出制を試験的に実施しており、今回この制度を全国に広げた。政府は自由貿易試験区ではネガティブリストにより管理を行っていたが、今後は「外商投資産業指導目録(2015年版)」の制限類・禁止類リストがネガティブリストになるということだ。つまり、目録の奨励類19分野については届け出制が適用されるが、制限類38分野、禁止類36分野については、これまでどおり審査許可制、外資参入禁止措置が適用される。また、奨励類19分野であっても、出資持ち分と高級管理者の国籍に対して特別な規定がある分野の場合、または外資系企業による中国企業のMAなどの場合は、審査許可制が引き続き適用される。将来的に目録とは別にネガティブリストが制定されるかどうかは、現段階では不透明だ。

 

2)届け出のプロセス

 外資系企業はまず、「外商投資総合管理情報システム」で届け出を行うための電子書類を送付する。企業所在地の商務部地方機関は、当該企業が届け出制の適用対象かどうかを判断し、適用対象でない場合は、これまでどおり審査許可制を実施するよう工商局など各関連部門に通知する。適用対象だった場合は、電子書類に不備がないかどうかをチェックする。不備がある場合には、外資系企業は15営業日以内に修正する必要がある。書類がそろった段階で届け出の手続きが完了したことになり、当該企業に電子完了証明書(中国語「回執」)が発行される。

 

(文涛)

(中国)

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