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輸出の減少幅は縮小も、主力の電気機器が不振-2016年上半期の日中貿易から(1)-

(中国、日本)

中国北アジア課

2016年08月18日

 ジェトロが財務省貿易統計と中国海関統計を基に、2016年上半期の日中貿易を双方輸入ベースでみたところ、総額は前年同期比3.9%減の1,422億6,140万ドルで、4半期連続の減少となった。輸出(中国の対日輸入)は4.5%減の663億7,913万ドル、輸入は3.4%減の758億8,228万ドルと、いずれも減少幅は縮小するもマイナスが続いている。また、日本側の貿易赤字は5.4%増の95億315万ドルで、赤字は2012年上半期以降9半期連続となる。ジェトロが調査レポートとしてまとめた上半期の日中貿易と下半期の見通しについて、輸出(前編)と輸入(後編)に分けて紹介する。

<減少続く鉄鋼輸出、乗用車は好調>

 日本からの輸出(注)は前年同期比4.5%減の6637,913万ドルと、前年上半期の10.8%減から減少幅が6.3ポイント縮小した。構成比27.6%と最大品目の電気機器は、スマートフォン向けの記憶素子などに使われるICが増加したものの、電気回路などの機器や重電機器の減少幅が前年同期を上回り、全体では2.2%減となった。原料別製品のうち鉄鋼は、中国での生産技術の向上や経済減速による需要減、過剰生産などによる価格下落の影響を受け、減少が続いている。輸送用機器は、乗用車が金額・数量ともに増加に転じた。品目別の特徴は以下のとおり。

 

1)電気機器は、金額で前年同期比2.2%減少した。同品目の34%を占めるICは好調で、その中でも45%を占める、主にスマートフォン向けのDRAMやフラッシュメモリーなどの記憶素子が金額・数量ともに増加した。一方、コネクター、抵抗器、配電用パネルなど電気回路などの機器(金額12.2%減)、コンバーターなどの重電機器(24.3%減)で減少幅が前年同期より拡大した。

2)有機化合物は、金額で前年同期比19.2%減となった。日本国内で需要増がみられたスチレン(金額62.5%減)、プロペン(48.5%減)などの輸出が大幅に減少した。

3)輸送用機器は、乗用車が中国の堅調な消費に下支えされ、高級車を中心に金額(8.7%増)、数量(14.6%増)ともに増加に転じた。

 

ICはさらなる輸出拡大の見通し>

 2016年通年の対中輸出の見通しは以下のとおり。

 

1)電気機器のうちICは、スマートフォンの高機能化、自動車向けの制御装置需要や電装化(タッチパネルやインターネットとの接続など)、工場設備の自動化などの進展により、部品点数や単価の上昇が見込まれ、日本企業が強みを持つ、小型で高性能の基幹電子部品の輸出増加が期待できる。

2)化学製品は、日本国内のプラントの減少に加えて、化学メーカーが市況の影響を受けやすい汎用(はんよう)品の生産比率を下げ、国内需要向けに安定的な収益を見込める機能品、医薬品、有機ELなどの高付加価値品への生産にシフトする動きがみられることから、日本からの輸出は減少する可能性が高い。

3)一般機械や原料別製品は、原動機(高性能ギアボックス)や自動車および石油鋼管用などの高級鉄鋼母材など、中国で生産できない高付加価値品の需要は底堅く、輸出増加要因となり得る。一方、台湾や韓国メーカーとの競争激化、中国メーカーの生産技術向上、中国経済の減速などにより、全体として輸出は減少傾向が続くとみられる。

 

 なお、調査レポートの全文は、ジェトロのウェブサイトを参照。

 

(注)この分析は、日本の対中輸出を中国の輸入統計でみる「双方輸入ベース」となっている。これは貿易統計が輸出を仕向け地主義、輸入を原産地主義で計上しており、香港経由の対中輸出(仕向け地を香港としている財)が、日本の統計では対中輸出に計上されないため。中国の輸入統計には日本を原産地とする財が全て計上されることから、両国間の貿易は双方の輸入統計のデータがより実態に近いと考えられる。なお、中国の輸入統計はドルベース、日本の輸入統計はグローバル・トレード・アトラスによるドル換算値を用いている。

 

(島田英樹、方越、黄海嘉、田中琳大郎)

(中国、日本)

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