行政許認可の一部撤廃・簡素化を試行へ-上海市浦東新区の会社経営に関し国務院が決定-

(中国)

上海発

2016年01月04日

 国務院は、上海市浦東新区で会社経営関連の各種行政許認可に対し一部撤廃・簡素化措置を試行することを決定した。この改革により、政府は行政許認可を4種類に分類し、それぞれに対し、撤廃、行政許認可に代わる登録制度、行政許認可の即時発行、行政許認可手続きの標準化・オンライン化措置を実施する。

<将来的には全国に導入か>

 国務院は20151216日、常務会議を開き、上海市政府が同市浦東新区で「証照分離」という新しい改革措置を試行する改革方案を認可した。

 

 中国では、会社設立、経営活動展開、新事業立ち上げの際に、工商局発行の営業許可証の取得・掲載事項変更を行うほか、事前に数多くの行政許認可を取得しなければならない。また、一連の行政許認可の審査手続きは透明性が低い。先進諸国では、行政許認可制度は銀行、保険や軍事用品企業など、数少ない特殊業種に対してのみ実施されるのが一般的だ。

 

 政府は「証照分離」という改革措置を通して、不必要な行政許認可を撤廃する一方、必要な行政許認可を簡素化・透明化し、行政効率の向上で経済の活性化を高める狙いだ。上海市浦東新区での試行後、将来的に全国に導入することが期待されている。

 

 改革方案の全文はまだ公開されていないが、国務院の発表によると、「証照分離」とは、政府が全ての行政許認可を4種類に分類し、それぞれに異なる改革を実施することだ。具体的な改革は以下のとおり。

 

1)中古車査定や屋外広告など、市場メカニズムが健全で、業界団体が効果的な自主管理を実現している分野の行政許認可を撤廃し、企業は営業許可証を取得した後に、直ちに事業展開できるようにする。

2)加工貿易契約の審査などの行政許認可を撤廃し、その代わりに登録制度を実施する。企業は関連政府部門に必要な文書を送付すれば、事業展開できるようにする。

3)自動車修理経営許可など、不適切な行為がもたらす悪影響が限定的で、経営行為に対する日常監督を通して不適切な行為を改めさせることができる分野は、「告知承諾制」を実施する。「告知承諾制」とは、企業が行政許認可の審査条件を満たすことを示す承諾書を提出すれば、すぐに行政許認可を取得できる制度。企業は後日、同行政許認可に必要な書類を送付する必要がある。

4)行政許認可審査の撤廃や「告知承諾制」の適用がふさわしくない分野の行政許可に対し、手続きの標準化・オンライン化を進める。

 

(文涛)

(中国)

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