同済国際緑色産業創新中心が上海に設立-ジェトロは日本企業の環境・省エネビジネスを支援-

(中国)

上海発

2016年01月15日

 ジェトロ上海事務所は2015年12月25日、同済大学緑色建築及新能源研究中心、同済大学科技園と、上海に設立された「同済国際緑色産業創新中心(センター)」を支援する覚書を結んだ。中国における環境・省エネ分野の課題解決に寄与するとともに、中国企業・外資系企業と連携するなど日本企業の環境・省エネビジネス展開を支援する狙いがある。

<産学官連携の覚書に調印>

 ジェトロ上海事務所は20151225日、産学官連携の知見が豊富な同済大学緑色建築及新能源研究中心、環境・省エネビジネス展開のプラットホームを中小ベンチャー企業に提供する同済大学科技園と、「環境・省エネ分野における産学官の業務協力に関する覚書」を締結した。具体的には、上海の同済国際緑色産業創新を支援するものだ。

 

 中国では、201511日に改正「環境保護法」、201611日に改正「大気汚染防止法」が施行され、環境問題への対応が差し迫った課題となっている。これをビジネスチャンスとするためには、環境・省エネ分野で高度な技術を持つ日本企業と中国政府関係機関とのパイプづくり、現地企業との提携などが重要となるが、これまでは中国政府、現地企業との関係構築が難しい面があった。

 

 こうした背景もあり、調印式で在上海日本総領事館の片山和之総領事は「優れた環境技術を持つ日本企業が、環境分野の課題を抱える企業や地方政府のお手伝いをさせていただける場として、今回この中心が設置されることは、まさに時宜に適している」と期待を示した。ジェトロ上海事務所の小栗道明所長は「同中心が日本企業チームによる環境ビジネス展開を後押しし、中国における環境問題の解決に寄与することを願う」と述べた。

 

 調印式では、同中心の設立が日本企業のランニングコストなどトータルな経済性・費用対効果を発揮できるプラットホームとなり、問題解決の糸口となることへの期待が寄せられた。

 

<日本企業がチームで環境・省エネビジネス活動>

 業務協力覚書に続き、同済国際緑色産業創新中心の設立、運営協力の覚書も締結された。

 

 まず、日資企業節能・環境推進研究会と同済大学緑色建築および新能源研究中心、同済大学科技園が提携して、同中心の設立に関する覚書を結び、同中心が同済大学緑色建築および新能源研究中心の下に設置された。運営主体は日資企業節能・環境推進研究会となり、研究会の運営委員長は会長企業であるトーエネック上海の大貫勝董事長、センター長は同済大学緑色建築および新能源研究中心の譚洪衛常務副主任が務める。

 

 日資企業節能・環境推進研究会は20137月、合同能源管理(EMC)認定事業者の上海清環環保科技を幹事企業として設立され、会長企業のトーエネック上海をはじめ約20社の日本企業が参加している。日本企業は環境・省エネ技術を提供すべく中国ビジネス展開を図ってきたが、1社では提供できるサービスが限定的であることから、チームとして環境・省エネの課題解決に取り組む活動を続けてきた。

 

 同中心の設立により、日中双方の協力企業および団体は、(1)環境・省エネ分野の情報プラットホーム業務、(2)コンサルティングサービスの提供、(3)環境・省エネ技術の導入、(4)地域のエネルギー効率環境モニタリング業務、(5)環境・省エネベンチャー企業のインキュベーション、などの業務展開を予定している。

 続いて同中心は、中国地方政府の関係団体である武漢市節能協会、クリーンエアの開発・製造・販売を行い、中国各地にパイプを持つメイエア中国環境浄化(Mayair)と、それぞれ業務提携の覚書を締結した。同中心が、湖北省武漢市などの抱える環境・省エネ問題に対しトータルなソリューションを提供することで、環境問題の解決につながることが期待されている。

 

 同中心は今後も、環境・省エネサービスを求めるバイヤーやカスタマー、現地に強いパイプを持つパートナーとの提携を進めていくとしており、経済活動が活発な華東地域において、日本と中国の環境ビジネスのプラットホームとなることが期待される。

 

(張培葉)

(中国)

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