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TPP大筋合意、EUはアジア市場参入の道探れと有識者は指摘

(EU、米国、アジア、フィリピン)

ブリュッセル事務所

2015年10月06日

 環太平洋パートナーシップ(TPP)が10月5日、大筋合意に達した。これを受けて、EUの多くの有識者は、EUが速やかにTPP参加国との自由貿易協定(FTA)の交渉・締結に動かざるを得なくなったと分析している。特にパリ政治学院のパトリック・メセラン名誉教授は、アジアへの窓口として日本との経済連携協定(EPA)の重要性を指摘し、交渉の加速、日本との規制協力の強化が不可欠としている。一方、TPPに参加していないフィリピンは、欧州委員会に対して2016年早々にはEUとのFTA交渉を開始すべく、予備交渉の早期終了を求めている。

<アジア大洋州市場でのEU企業の競争力低下を懸念>

 EU通商政策専門ジャーナリストらが運営する情報サイトであるボーダレクス(Borderlex928日)の記事によると、ブリュッセル欧州・世界経済研究所のアンドレ・シャピル上級フェローは「TPPの参加国の貿易自由化が成功すればするほど、EUTPP参加国と行う貿易にとって一層の損失となる。従って、EUはますますASEANとのFTAや日本とのEPA、米国との包括的貿易投資協定(TTIP)といったTPP参加国との2国間FTAを締結せざるを得なくなる」と指摘する。

 

 また、パリ政治学院のメセラン名誉教授は「TPPに伴う(EUの)最大の損失は、EUの全ての商品の輸出事業者が米国や日本市場で、米国、日本、その他TPP参加国の企業に対して競争力を失うことだろう。だからこそ、EUは日本とのEPA交渉を加速すべきであり、日本との規制協力を強化し、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への参加、TTIP交渉の継続なども真剣に検討することで、アジア(市場)への積極的な参入の可能性を探る必要がある」との見解を示した。

 

 欧州の政治・経済・社会問題に関する非営利シンクタンクであるフレンズ・オブ・ヨーロッパのシャダ・イスラム政治部長も「(TPP妥結後)早急にEUASEANとのFTAに向けた対話を行うことが、EUにとってより戦略的に重要だ。さらには、段階的にASEAN・オーストラリア・ニュージーランドとのFTAの可能性を探る野心を示すこともあり得るだろう」との大胆な見通しを語った。

 

TPP未参加のフィリピンはEUに接近>

 現時点でTPP交渉に参加していないフィリピンは、EUへの接近を試みている。グレゴリー・ドミンゴ貿易産業相は、欧州委のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)に921日付で書簡を送り、102日のブリュッセル訪問の際にEU・フィリピンFTAについて協議するための会談を要請した。この中で、「91011日にマニラで行われたFTAに関するスコーピング作業(予備交渉)の結果および交渉立ち上げの可能性について協議を望む。未解決の問題が3件残るが、両者の見解の相違は克服できると楽観している。このスコーピング作業に関わる協議を速やかに終了するため、政治的な後押しが必要と考えている。そうすれば、われわれは11月に準備を始め、2016年早々には交渉を開始できる」としている。

 

 この会談が、フィリピン側の要請どおりに実現したか、EU側は明らかにしていないが、欧州委のフィル・ホーガン委員(農業・農村開発担当)が102日のツイッターで、フィリピンのドミンゴ貿易産業相と会談し、EU側の求める「地理的表示(GI)制度について良い感触が得られた」ことを明らかにしている。

 

(前田篤穂)

(EU、米国、アジア、フィリピン)

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