中古車の輸入にも横滑り防止装置を義務付けへ
(ニュージーランド)
オークランド事務所
2015年10月28日
ニュージーランドでは2015年7月1日以降、輸入される新車に対し、横滑り防止装置(ESC)の装備が義務付けられている。2016年3月には中古車の一部も対象となり、その後も順次、適用対象が拡大する予定だ。最終的には、全ての中古車輸入に装備が義務付けられることになる。
<2016年3月には、中古車の一部に適用>
この新規制について、クレーグ・フォス運輸副大臣は7月1日付の声明で、「この措置は、ニュージーランドの道路安全に大きな好影響をもたらす。今後20年間にわたり、ESCによって数百の死亡事故、数千の重傷事故の防止が期待される」とした。また、「包括的な道路安全戦略の一環として、一層安全にしていくための方策を引き続き追求していく」と説明。
現在、当該規制の対象となっているのは新車だけだが、今後は以下の日程で、中古自動車に対してもESC装備が輸入のための条件とされることが示されている。
○2016年3月1日以降:運輸省分類のMC〔四輪駆動・スポーツ用多目的車(SUV)およびオフロード車〕に該当する中古車。
○2018年3月1日以降:運輸省分類のMA(乗用車)に該当する中古自動車で、排気量が2000cc超のもの。
○2020年3月1日以降:その他の中古自動車全て。運輸省分類の排気量が2000cc以下のMAなどに該当する中古自動車。
<日本製の中古車は大きな存在感>
日本からニュージーランドに輸入される品目としては、自動車・同部品が最大だ。日本からの輸入全体に占めるHS87類の構成比は例年、6割前後を占めている。その中でも、中古車は極めて重要な存在といえる。直近1年間(2014年9月~2015年8月)の輸入実績をみると、完成車(乗り合い用、貨物用、特殊車両を含む)全体の輸入に占める中古車の構成比は、金額ベースでは半分近く、台数ベースでは4分の3を占める。世界全体と比べて、圧倒的に大きい。
また、世界からの輸入に占める日本の構成比では、中古車の存在感が際立っている。
日本では2012年10月1日以降、自動車の生産に当たって順次、ESCの装備が義務付けられていることから、日本からの新車輸出については今回の措置の影響は限定的と考えられる。ただし、年式の古い車両については、今回の措置により対ニュージーランド輸出が困難になる懸念も出てきそうだ。当地では、日本以上に年式の古さに寛容で値ごろ感から有力な商品となっているとされ、一定の影響はあり得る。ジェトロ・オークランド事務所が中古車事業者にヒアリングした限りにおいては、過度に深刻視されている様子は見て取れない。ただ、当該措置導入の結果として、中古車の販売価格が徐々に値上がりする可能性は考えられる。
(林道郎)
(ニュージーランド)
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