第2四半期のGDP成長率は前期比0.3%、5期連続の1%割れ

(韓国)

ソウル事務所

2015年08月04日

 韓国銀行(中央銀行)の発表によると、2015年第2四半期の実質GDP成長率(速報値)は前期比0.3%となり、5四半期連続で1%を下回る成長率となった。同行関係者は、主に中東呼吸器症候群(MERS)と干ばつが成長率の鈍化をもたらしたと説明した。一方、国内のマスコミの多くは、下半期の展望についても悲観的な見方を示している。

<準耐久財とサービスの民間消費が振るわず>

 韓国銀行の723日の発表によると、2015年第2四半期(46月)の実質GDP成長率は前期比0.3%となり、5四半期連続で1%を下回った(図参照)。前年同期比では2.2%となった。

 実質GDP成長率(前期比)を支出項目別にみると、民間消費が準耐久財とサービスの消費の減少により0.3%減となった(表参照)。一方、設備投資は機械類が減少したものの、輸送装備が増加したことで0.4%増となった。また、輸出は半導体や自動車などの財の輸出を中心に0.1%増加し、輸入は原油や自動車、海外旅行支出など国外支出などを中心に0.5%増加した。

 経済活動別にみると、サービス業は金融・保険と不動産・賃貸業が増加したが、卸・小売業および飲食・宿泊業などが減少した結果、0.1%増にとどまった。また、製造業は携帯電話や自動車などを中心に0.8%増加した。一方、農林漁業は11.1%減と急減した。

 

<国内マスコミは経済先行きに悲観的な見方>

 韓国銀行のチョン・スンチョル経済統計局長は記者会見で、第2四半期の実質GDP成長率が振るわなかった主な理由として、(1MERSによる卸・小売業および飲食・宿泊業などの不調と消費者マインドの萎縮、(2)干ばつなどの影響を受けた農林漁業の生産減少、などを挙げた。

 

 2015年第3四半期以降については、「MERSと干ばつなどで萎縮した消費が回復し、マイナス影響が相殺される」としている。しかし、国内マスコミの多くは、下半期の実質GDP成長率の展望について否定的な見解を伝えている。「韓国経済新聞」(724日)は「韓国銀行が7月初旬に2015年の実質GDP成長率の予測値を従来の3.1%から2.8%へと下方修正したが、これも達成することが難しい、との指摘が出ている」とし、「中央日報」(同)は「政府は下半期に成長率が回復するとみているが、特別な対策がなければ下半期も不振が続く可能性が高い」と報じた。また、「毎日経済」(同)は「輸出減少や消費・投資の内需冷え込みなど、経済のファンダメンタルが著しく弱まっている」と指摘した上で、「構造調整がないまま、お札を刷る景気浮揚策は効果に限界がある」「今後の政策は労働改革を含む構造改革と新成長エンジン発掘に焦点を当てるべきだ」とする識者のコメントを紹介した。

 

〔柳忠鉉(ユ・チュンヒョン

(韓国)

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