上半期の対外直接投資は前年同期比12.1%増、中国向けは減少

(韓国)

ソウル事務所

2015年08月24日

 韓国の2015年上半期(1~6月)の対外直接投資は、金融・保険業の大幅な増加により、前年同期比12.1%増の174億5,000万ドルとなった。地域別ではアジアへの投資がベトナムやシンガポールを中心に増加したものの、中国向けは減少した。

<金融・保険業が大幅に増加>

 企画財政部は811日、「2015年上半期の海外直接投資動向」を発表した。それによると、2015年上半期の対外直接投資(申告ベース)は、前年同期比12.1%増の1745,000万ドルだった(表1参照)。また、2015年第2四半期(46月)は前期比で25.8%増の972,000万ドルとなった。

 業種別でみると、金融・保険業が前年同期に比べ2.7倍の487,000万ドルと急増した(表2参照)。とりわけ米国(36,000万ドルから166,000万ドル)と香港(8,000万ドルから113,000万ドル)への投資が大幅に増加した。一方、製造業は前年同期比6.3%減の405,000万ドルにとどまった。製造業では、「自動車およびトレーラー」(11600万ドル)が最大となり、「電子部品・コンピュータ・映像・音響および通信装備」(55,900万ドル)と「化学物質・化学製品」(54,300万ドル)がこれに次いだ。

<アジアへの投資は増加も、中国向けは減少>

 地域別では、アジアが前年同期比30.1%増の728,000万ドル、中南米が17.4%増の236,000万ドルだった(表3参照)。アジアでは金融・保険業と鉱業などが、中南米では金融・保険業と製造業などが伸びた。一方、欧州は不動産・賃貸業などが不振で、12.8%減の17億ドルとなった。対外直接投資の上位5ヵ国は、米国(20.5%増の443,000万ドル)、ベトナム(82.2%増の172,000万ドル)、シンガポール(2.6倍の155,000万ドル)、中国(32.1%減の137,000万ドル)、香港(3.3倍の127,000万ドル)の順だった。これら上位投資国の中では中国だけが、製造業および金融・保険業などを中心に減少した。

<通年では増加の見込みだが下振れリスクも>

 企画財政部は2015年通年の見通しについて、「北米地域の景気回復と世界的な投資促進・自由化政策の推進により、世界的に対外直接投資の増加が見込まれる」とし、「それに合わせて韓国の対外直接投資も増加すると予想されるが、欧州地域の景気の不確実性や新興国の経済の脆弱(ぜいじゃく)性などの下振れリスクも同時に存在する」との見方を示した。

 

〔柳忠鉉(ユ・チュンヒョン)〕

(韓国)

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