関税ゼロの対象品目を拡大し、適用期限も2年延長

(コロンビア)

ボゴタ事務所

2015年08月25日

 サントス大統領とカルデナス財務相、アルバレス-コレア商工観光相は8月13日、コロンビア産業連盟(ANDI)の総会で資本財や中間財に関する関税免除の対象品目拡大を発表し、8月14日付官報で政令1625/2015を公示した。これにより、関税0%の対象品目は従来の3,490品目から3,623品目に拡大された。また、適用期限の2年間延長も発表された。

<生産性向上・雇用拡大計画の一環>

 813日にカルタヘナ市で開催されたコロンビア産業連盟(ANDI)総会に出席したサントス大統領、アルバレス-コレア商工観光相は、国内で生産されていない資本財や中間材などの関税率を0%に引き下げる時限措置の対象品目を現行の3,490品目から3,623品目(注)に拡大し、また同措置の適用期限(従来は2015815日)を2017815日まで2年間延長すると発表、翌14日付の官報で政令16252015を公示した。

 

 これは、政府が6月に発表した生産性向上・雇用拡大計画(PIPE2.0)に記していた内容で、ようやく実現されたことになる。

 

<関税引き下げで資材調達の負担を軽減>

 カルデナス財務相は、2011年に始まった資本財・中間財の関税免除措置は、年間約7,000億ペソ(約273億円、1ペソ=約0.039円)の企業の負担軽減に寄与しているとした。今後は、ドル高ペソ安によるこれら当該品目の輸入価格上昇により、これからの1年間で13,000億ペソ、続く1年間では14,000億ペソの負担減につながると政府は試算しているとした。

 

 関税免除措置は、特にインフラ整備に不可欠な鉄鋼分野などの資材調達の軽減になるとしている。2014年の日本からの輸入全体に占める鉄鋼関連の割合は約20%で、さらに拡大する可能性がある。

 

 このほか、アルバレス-コレア商工観光相は輸出拡大に向け、現在輸出の障壁となっている貿易管理手続きの簡素化・電子化や中小企業を中心とした競争力強化、密輸取り締まりの強化、地域クラスターへの資金援助、技術革新投資に対する減税などについても取り組んでいるとした。

 

<原油安が続く限りペソ安は継続>

 2014年下半期からの原油をはじめとする国際資源価格下落などの影響を受け、為替相場はペソ安傾向が続いており、815日には対ドルで過去最安値を更新し、19日には1ドル=3,000ペソの大台を突破した。

 

 専門家は、原油安が続く限り、ペソ安傾向は継続するとみており、短期的には1ドル=3,200ペソの水準に達するとみている。また最近のペソ安は、中国人民元の切り下げや米国政策金利の利上げの可能性なども要因の1つとなっていると指摘している。

 

(注)2017815日まで関税が0%に引き下げられる具体的な対象品目のHSコードは、政令1625/2015で確認できる。

 

(高多篤史)

(コロンビア)

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