上半期の対内直接投資は14.2%減の88億7,100万ドル
(韓国)
ソウル事務所
2015年08月03日
韓国の2015年上半期(1~6月)の対内直接投資は、前年同期比14.2%減の88億7,100万ドルとなった。業種別では、製造業、サービス業ともに減少した。国・地域別では、米国、日本、EU、中国などが減少した一方、中東が増加した。形態別では、M&Aが減少、グリーンフィールドが増加した。
<製造業が68.2%減、サービス業も5.4%の減少>
産業通商資源部は7月8日、「2015年上半期の外国人直接投資動向」を発表した。それによると、上半期の対内直接投資(申告ベース)は、前年同期比14.2%減の88億7,100万ドルとなった(表参照)。同部は今回の実績について、「上半期ベースで過去最高となった2014年に次いで過去2番目に高い数値を達成した」とした上で、「第2四半期が前期比49.9%増の53億1,600万ドルとなり、対内直接投資が回復基調をみせている」と評価した。
業種別にみると、製造業は前年同期比68.2%減の10億9,800万ドルと大幅に減少した。製造業をさらに詳しくみると、非金属鉱物が前年同期の20億6,800万ドルから400万ドルに、化学工業が4億3,000万ドルから2億2,500万ドルに急減した。一方、電気・電子は3億2,200万ドルから5億4,300万ドルに増加し、製造業部門で最大となった。
サービス業は、前年同期比5.4%減の63億6,600万ドルとなった。サービス業の内訳をみると、ビジネスサービス業が前年同期の28億8,500万ドルから12億300万ドルに急減した一方、不動産・賃貸が11億8,300万ドルから14億6,800万ドルに増えた。金融・保険は12億ドルから26億3,600万ドルに伸び、サービス部門で最大となった。
国・地域別では、米国(前年同期比16.3%減)、日本(15.3%減)、EU(59.8%減)、中国(49.3%減)など主要国・地域が減少した。一方、中東はサウジアラビアの国富ファンド(PIF)による韓国のポスコへの投資を中心に、前年同期の約42倍となる13億4,000万ドルを記録した。
形態別では、M&Aが52.2%減の22億5,900万ドルで、グリーンフィールドが17.9%増の66億1,200万ドルだった。
<対内直接投資は回復基調と予想>
産業通商資源部は下半期の対内直接投資の展望について、「中東呼吸器症候群(MERS)の影響やギリシャ問題による欧州の景気冷え込みなど、投資の誘致には困難な状況にある」とする一方で、(1)大型複合リゾート投資に対する関心が高い、(2)韓中自由貿易協定(FTA)の発効(注)に対する期待感から中国をターゲットとした韓国への投資が具体的になる、などの点を挙げて、対内直接投資の回復基調が続くと見込んでいる。
(注)2015年6月1日に中国とのFTAの正式署名が完了し、発効を控えている。
〔柳忠鉉(ユ・チュンヒョン)〕
(韓国)
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