BOIが特別経済開発区における恩典対象業種を承認-具体的な奨励事業や適用条件は今後に公表予定-

(タイ)

バンコク事務所

2015年04月30日

 タイ投資委員会(BOI)は4月2日、ターク、ムクダハーン、サーケオ、ソンクラー、トラートの各県に設けた特別経済開発区で特別に奨励する13の産業グループを承認した。今回、承認された産業グループに属する奨励事業を特別経済開発区で行う場合、BOIが付与可能な最高の恩典を受けることができる。

<対象業種には最大限の恩典を付与>
 近隣諸国との経済連携およびASEAN経済共同体(AEC)での経済発展を目的とする特別経済開発区の設置については、2014年末に政府により国境に位置する5県が指定されていた。BOIはこれを踏まえ、それら国境県に設ける特別経済開発区においては最大限の恩典を付与することを発表し、後日対象業種などの詳細を定めるとしていた。

 今般、4月2日に開催されたBOIの本委員会では、3月16日の特別経済開発区政策委員会(議長:プラユット首相)で決定された大枠である13の産業グループが承認された。これら13の産業グループには61のBOI奨励事業が該当するとされているが、具体的な事業名はまだ公表されておらず、近日中に布告にて公表される予定だ。またBOIは、各特別経済開発区の潜在力や特性などにより、恩典が認められる産業が異なるとしている。

 今後、公表される61の奨励事業を特別経済開発区で行う場合、企業は、a.8年間の法人税免税期間と8年経過後さらに5年間の法人税半減、b.機械輸入税の免除、c.輸出向け製品に使われる原材料の輸入税の免除、d.外国人による土地所有の許可、e.外国人のビザ・労働許可(ワークパミット)、などの優遇措置を投資恩典として受けることができる。

<優遇措置が増加する業種も>
 2015年1月に施行されたBOIの新投資恩典政策では、奨励事業の業種により、法人税減免などの恩典に大きく差がつけられることになった。立地場所によっては法人税の減免など恩典が削減された業種も多い。今回の優遇措置は、新投資恩典政策において最高水準に位置することから、業種によっては、特別経済開発区に立地することにより、優遇措置が増加する業種があるとみられる。BOIは特別経済開発区に立地する場合、指定の業種に該当しなくても、新投資恩典政策の対象業種であれば、特別経済開発区の恩典を受ける資格があるとしている。61の具体的な事業(業種)や優遇措置の詳細、適用条件などは、今後公表される予定となっている。

 なお、BOIにより公表された特別経済開発区に関する恩典の対象となる13業種は、以下のとおり。

(1)農業、漁業およびこれらに関連するビジネス
(2)セラミック製品の製造
(3)繊維、衣類、皮革産業
(4)家具製造
(5)宝石および宝飾産業
(6)医療機器産業
(7)自動車産業、機械および部品産業
(8)電子・電気機器産業
(9)プラスチック産業
(10)製薬業
(11)ロジスティクスビジネス
(12)工業団地開発
(13)観光支援事業

(長谷塲純一郎、若松寛)

(タイ)

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